『あら、小沢さん。』 『あ、こんにちは。』 『まー、今日は奥さんどうしたの?』 『ちょっと風邪をひいて。実家に帰ってます。』 『あらやだ、大変ね。大丈夫?インフルエンザ?』 『検査したらインフルじゃなかったんですけど、娘が最近夜泣きするんで、疲れもたまってたみたいです。』 『そうなのー。この時期の夜泣きはつらいわよねー。』 『はい。』 腕の中で、娘がすうすうと寝息をたてる。 ゆうべ一晩、娘と二人きりですごしただけで、すっかりふらふらになってる俺。 毎晩毎晩、平日ちゃんと朝まで眠れているのは、 嫁さんが俺を起こさないように、娘をあやしてくれているおかげなんだなあと痛感した。 昨日、ユッキーが会いにきてくれた。 どうしたのかなって思ったら、そういえば俺の誕生日で。 っていっても、誕生日は今日なんだけど、 『遅れるよりは先に祝いたいから。』とかいうの。 『比呂に会いに行くから、明日はこれないなあと思ってさ!』だって。 ちょうど紙おむつが底つきそうなときにさ、紙おむつ2パックも買ってきてくれて、 さらに寿司とか服とかくれてさ。親友って、ありがたい。 ものくれるから、ありがたいとかじゃなくって、困ってるときに ふいにこんな風に、絶妙なタイミングで救ってくれるとこがさ、 ありがたいなあっておもうんだよね。 子供がうまれてから、ほんと俺、家族と友人のありがたさが痛いほど身にしみてるよ。 今朝は、比呂から宅急便が届いてね。 自分ちひなちゃんが赤ちゃんの頃の様子をね、パソコンで打って 会議資料みたいな感じにまとめてくれててさ。 それがさ、今まさに俺が抱いてる不安に見事にヒットしててね、 超参考になるの。 あいつがなんで、こんなに事細かく何年も覚えていたのかは謎だけど、 思い出したときに打ち込んでは、印刷してまとめてくれたんだろうね。 一緒にベビー服や、嫁さん用の服がはいってて、 俺には変な柄のTシャツと、アルバムがね、はいってた。 パソコンに画像保存しっぱなしにするんじゃなくて、 ちゃんとプリントアウトしたほうがいいよーって。 そういえば比呂、さや君とひなちゃんの写真、たくさんプリントアウトして、 アルバム何冊もつくってたもんなあ・・。 もらったベビー服着せて、家の近所を散歩しながら、まだコトバなんかわからないだろう 娘に、木の名前や、空の色、たくさん話しかけて、ぎゅっと抱きしめる。 そしたら携帯にメールがはいって、嫁さんからだった。 |
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