店を閉めて、厨房の片付けをしていたら、秋山から電話がかかってきた。
『今日、夜営業ナシなんだろー。はやく来いよ。』
『ばーか。片付けとか色々あんだよ。お前ら夕飯どうすんの?』
『ムラきてんだよ。だからピザと寿司とった。だから早く来いよ。』
『ばーか。片付けだって!』
『じゃあなるべくはやく。な。』

どーせゲーム要員なんだろっ。しかもお得意のマリオ。お前らだけでやってろって。


電話を切って、溜息をつく。しょうがねえなーと思いつつ、それでも
極力用事を早く済ませて、かけつけてしまうあたり俺もえらそうなことは言えないのだ。


玄関あけて勝手に上がる。ムラ君の笑い声。今日は下の部屋にいるんだな。

『よー。』と、顔をのぞかせると、紺野と秋山がなんかもめてる。

『お!沼田いらっしゃい。』『あ、沼田さんこんばんは。』秋山とムラくん。
すると、紺野が俺のほうを見て『沼田さんっ、秋山さんを怒って!!』なんて
幼稚園児みたいなことを言い出すじゃん。なにあった。

紺野の隣に腰掛けると、秋山が『なんでハナっから紺野擁護ポジションなんだよっ!』
とか文句を言う。はいはい。
『どーした。』紺野に聞くと、どうやらゲームの件で揉めてるらしい。

『この人、全然勝てないからって拗ねて卑怯な手を使い出してさー。』
『どんな?』
『なんか、わざと幅寄せしまくって、俺をわんわんに食わせようとするんだよ!』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

返答に困った俺は、ムラくんの顔を見た。ムラ君は、『どっちもどっちですよ。』と笑った。
そのうちに寿司屋とピザやが来て、喧嘩もどきはうやむやに。

寿司とピザって、どういう組み合わせだよ。しかもこんなにバカみたいに頼んで。
それでも気の合うやつらと食う飯って言うのは、なんだかんだうまい。

ピザ食って、ビール一缶飲み干したムラくんが、『次、スマブラやろうよ。』とか言い出した。

『スマブラ?駄目だよ。秋山さんとか、ゲーム酔いするから。』
『え?まじで?』
『スマブラとかソニックとか画面酔いするんだよね、秋山さん。』
『まあなー。だってあれ、ちょっと臨場感ありすぎなんだよな。酔うんだよ。まじで。』
『へー。 』
『「俺って繊細だからなー。」とか寝ぼけたこと抜かしたら殴るからね。』
『沼田ぁ、助け舟だして。』
『巻き込むな。俺を。』

次にやるゲームが決まらなくて、そのまま四人でダラダラ喋る。
紺野とムラくんが、ひそひそやってるから、『どうしたの?』って声をかけたら、
ムラくんが、笑った。

『紺野が今頃になって、「出前のとり方俺って下手だよね。』とかいうから、そうだねって。』
『やっぱ今日の、紺野が頼んだの?』
『うん。今日、レンタル観葉のメンテまわってたんだけど、前に一緒にフットサルやって
仲良くなった人に会って、30分くらいヒマがあったから、スロ打ち誘われて、
行ったら2万儲かってー。だからおごり!』
『マジかよ、お前スロ打ち行くと絶対出すよなー。普段全然やんねーのに。』
そしたら紺野、超ご機嫌そうに笑った。


ああいうのでもうけた金は、みんなにおごって使っちゃえってのは、岸くんの教えだっけっか。


幸村くんが、この場にいたらきっと喜んでたんだろうね。


ゲームはというと、結局マリオに戻った。
俺がコントローラー手にした瞬間、ムラ君が『あーあ、コリャ俺今夜は絶対かてねーわ。』と笑った。
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落書き紺野を水玉さんに気に入っていただけたので、お話くっつけてみました★