そういえば、いつの間にか雨、やんでる。

『沼田さーん・・・』

ほんとに困って車体とドアの間から、体を引き離して沼田さんを見た。


そしたら、ため息を一つついてから、『・・腕、見せて・・。』っていって
沼田さんが車から降りてくれた。


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沼田さんは、俺の腕の傷を消毒したりしながら、自分の気持ちを話してくれた。
過去に経験した恋の話だとか、そういうことを話しながら、
秋山さんのことが大好きだから、あの人に別れの言葉を言われるのが
怖いんだよって言って笑った。

今まで何人かの人と付き合ってきたらしいんだけど、その半分は相手が逃げて、
残り半分は自分が逃げたって。ちょっとの困難や単純な飽きを乗り越えようともせずに
毎回笑っちゃうくらいパっと逃げて、振り返るとその全てがさほど幸せな恋では
なかったなあと・・・秋山さんと一緒にいる時に、よくそう思うことがあったって
言って沼田さんは、また笑った。秋山さんといると幸せ・・・というか
普通というか、楽だというか、こんなに何の気負いもなく生きいられている状態は、
恋愛感情をしらない子供のころ以来だとも言った。


・・・・沼田さんのつらさとか、思う気持ちはよくわかる。
でも、秋山さんに出会えて幸せで、今でもちゃんと両想いなんだから、
問題が起きているんだとしても、二人で考えて乗り越えたほうがいいじゃん。

心の底から好きになれて、そばにいることで安らげる人って、
生きてるうちに何度も出会えるとかないよ。
そんな相手が自分を好きになってくれて、付き合っていられてるのに
この状況で逃げるってのは、その幸せを捨てるのと一緒じゃん?

捨てんのは幸せだけじゃないよね。秋山さんのこともだよね。
好きな人にいなくなられる辛さとか、何度も味わってきたんじゃないの?
俺にも経験あるけど、ほんとに死ぬほどつらいし苦しいよ。


結局、秋山さんとの間に何があったのかはわからない。でも、
とりあえず、とどまってくれる気持ちになってくれたのは嬉しかった。
だけど信用できないから、今夜は俺がずっと見張る。

絶対いなくなられないように。




『服の金具で切っただけだから痛くないっす。ほんと大丈夫。』
『でも・・・。』
『マジ大丈夫です。つか・・秋山さんから・・なんか言われたんですか?』
『・・・・・・・・。』
『沼田さん、別に無理に話聞き出すつもりないけど、俺、絶対どこにも行かせないよ。
秋山さんとなんかあったんだったら、ちゃんと二人で話して。会って話して。』
『・・・・・紺野ぉ・・・・』
『・・・はい。』

『・・・俺、もう秋山と話したくないんだよ。』
『・・・・・・。』
『・・・・・・』
『・・・え?なんで?』
『・・・・・・。』
『・・・・じゃあ、無視。』
『・・・・・・・・。』
『・・・向こうが謝るまで無視すればいいじゃん。ねえ、戻ろうよ。』
『・・・・・・・・・・。』