沼田さんが、さっきから無言だ・・・・・。 秋山さんが、喋れば喋るほど、眉間のしわが深くなる。 正直、怖い。今日は、ちょっと忙しかったから、三人でゆっくりと飯を作ることになって、 俺はえんどう豆をむく係になって、秋山さんは菜の花を洗って、短く切る係になったんだけど、 秋山さんとか余計な話ばっかして、ぜんぜん作業が進んでない。 沼田さんは黙っちゃうし、秋山さんは独り言をただでっかい声で喋り散らかしてるだけだから、 俺、話し相手がいなくって、ひとりでずーと、無言のまま豆をむいてた。 その間に、たくさんの野菜を茹でたり切ったりして、ほとんどの料理をあっという間につくった沼田さん。 俺も豆むき完了したからソッコー沼田さんに渡したんだけど、笑顔で『ありがとう。』と言ってもらえて ほっとした。怒りに他人を巻き込まないとこが、沼田さんのすげえとこ。 『沼田さん、これ、何に使う? 』 『なんにでも使えるよー。ただ茹でてもうまいし、ポタージュでもいいし。 今日は、茹でてコーンやソーセージと炒めるか。』 『おー。うまそーー!』 『残った豆で、豆ご飯炊くからさ。明日用に。』 『ありがとー。ほんと、俺ら沼田さんのおかげでこんだけ健康体なんだと思うよ。』 『ははは。』 そんな会話をしながらも、俺は常に秋山さんをチラ見。 誰も返事をしないから、ついに壁に向かって話し始めてる・・・・。 『なあっ・・。』 『ん〜?どした〜。ぬまっち。』 『ちゃっちゃとやれよ。いつまでかかるんだよ。』 『あー、ごめんねー。今切るから。』 『そんなのに何十分もかかるって、お前絶対おかしいだろ。』 たしかに。確かにおかしい。だってほんとに・・あの人菜の花洗って切る事しか任されてなくって、 俺は(場の空気に耐え切れなかったから)皿を出したり、 時々(那央に、『もう逃げ出したい。たすけてくれ!』とか)メールしたり、 他の用事もしてたんだけど、秋山さんがしたことといえば、菜の花洗って、短く切りつつ 壁に向かって話すことくらい・・・。そんなんでこんだけ時間かけるとか、逆にある意味才能かもしれないとか思った。 説教かましながら沼田さんは、あっというまにグリンピースの炒め物も完成させる。 しかも超うまそう。腹がぐうぐう鳴る。 場の空気があまりに地獄過ぎて、なんかしてないと死んでしまいそうな俺は、 沼田さんから料理を受け取って、居間のほうに運び、無駄な行動で時間を稼いでから、 調理場に戻ったら、どうやら秋山さん、菜の花作業完了したらしい。 『できたー!沼田ちゃん、はいよ。』 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』 安定した無言対応の沼田さん。で、そんなの全然気にする様子のない鋼鉄の心臓を持った秋山さん。 『沼田〜みてこれ。葉っぱとか、ちょっと枯れたとこ全部むしったぜ。』 『・・・・・・・・・・・・・・・。』 『沼田の料理はうまいからさー。下ごしらえは丁寧にって思ってさ〜☆☆』 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』 『そんな顔すんなよ。ほれ、またシワが増えるぞ?スマイルスマイル』 『・・・・・・・・・・・・・・・うるさいよ。オヤジ・・・。』 『・・・・・・・・・。』 『まあ・・丁寧な作業だったことは、認めてやるよ。』 『さすが沼田!』 沼田さん、秋山さんより年下なのに、よっぽど大人ですげえとおもう。 あの状況で、ちゃんと人ほめられるってすごいよ。大人の対応。ほんとすごい。 というわけで夕飯完成した。 菜の花ときのこのアリ・・アリオオオオオ・・なんとかってやつと、グリンピースの炒め物と、 セロリとトマトとゆで卵のサラダと、あとなんだっけ・・あ、新じゃがとアスパラのオムレツだ。 で、スモークサーモンとゆでえびの・・・あの・・・ピンポン球みたいに丸い寿司に、 とりにくの・・やきとりみたいな・・・インドネシアっぽいうまいやつ 俺と秋山さんしかいなかったら、全部の材料まとめてガーっと炒めて、 ぐちゃーってカレーにする以外思いつかないのに、やっぱ沼田さんすごいなーって 本気で思う。今日俺何回、沼田さんのことスゲえって思ったのか思いかせえないくらい すげえなーっておもう。 空腹が限界だったから、とりあえず食べようよ!ってことになった。 それぞれの酒を持って、食卓をかこむ俺たち。やっとご飯食える〜って 顔が勝手に笑う状態になってたら、秋山さんが菜の花食いながら とんでもないことを口走った。 『シワっていえばさー、昔俺の元カノが使ってたコラーゲンがよかったけど、沼田も試したら?』 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』 秋山っ!てめえ・・・・っ |
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***************** 鈴木さんからリク頂きましたこんにょ視点の秋沼です。 秋沼もこれからもっと増やしていけたらいいなあって、ちょっと思ってます。 鈴木さん、ありがとうございました! 秋沼、普段は普通に仲良しだと思います。 |