斉藤君に借りてた漫画を返そうと思って、機械科の教室の方に行ったら、
廊下で麦や紺野たちが喋ってた。
『浅井〜!!』手を振るユッキー。俺はそのまま輪の中に入る。

『あれ?ほかのやつらは?』
『教室。どうしたのお前。』
『斉藤君に漫画借りててさ。返そうと思って。』

麦とそんなことを喋ってたら、ユッキーが、
『斉藤、今いないよ。小沢と先生のところに行った。』
って教えてくれた。

『漫画、なに?』
紺野が携帯いじりながら聞く。
『よつばと!』
『え?何巻?』
『1巻』
『びびったー。新刊出たかと思った』
『違うよ。』
『渡しとくよ。斉藤に。』
『サンキュー。』

紺野に漫画を渡した。

『テスト、どうだった?』
麦が聞いてくる。
『まだ半分も返ってきてないから。機械科は全部返ってきたの?』
『ううん。まだ。でも、現時点で紺野はもうオワってる。』
『えー?!』

紺野が『人のこといえんのかよ。』といいながら、ガムを膨らませる。
するとユッキーが、紺野を説教しだした。

『人のことはどうでもいいんだよ。問題はお前。お前ほんと小学生以下過ぎる!
特に歴史関係とか国語とか惨敗すぎ!!!お前、毎日予習や復習やってんの?』
『そんなのやってんの、おめーだけだろ。』
『おまえこそバカなんだから、ちゃんとやれよっ!』
『ちょっとそこの誰か援護射撃しろよー・・』

『ユッキーに口でかなうわけねーだろ。』
『流れ弾やめろよっ。』
助けを求める紺野を優しく見捨てる俺たち。だってここまでがテンプレートだし。

文句言いまくるユッキーの声を聞きながら、麦と話してたら、背中に突然誰かがおんぶしてきた。
小沢ちゃんだった。

『浅井じゃん!どうしたの?君ら教室はあっちだよ?迷子?』
『ちがうよ。斉藤君に用事。あれ?一緒じゃないの? 』
『うん。途中で坂口に会って、二人でどっかいった。』
『ふーん。』
『紺野の鎌倉幕府の話聞いた?』
『え?なにそれ・・』
『あのね・・』

小沢ちゃんがなにやら話そうとしたとき、紺野が携帯をパタリと閉じた。

『聞かんでいい!浅井、水道いこー。』
『ああ、いいよ。』

紺野と一緒に水道に向かう俺。
『じゃあまたなー。』といって、麦と小沢ちゃんが教室に入っていって、
『俺も水道いく!』と、ユッキーがあわてて後を追いかけてきた。

『鎌倉幕府ってなに?』
『なんだろ。俺もわからん。』
明らかにしらばっくれる紺野。するとユッキーが『あ!』と声を上げる。
廊下の向こうから、坂口君と斉藤君が歩いてきた。

紺野が斉藤君に、『さいとー。』といって、漫画を投げる。ナイスキャッチ斉藤君。
『ありがとねー。』と俺が言うと、斉藤君は、笑顔でうなずいた。

その後、水道の前で、紺野や斉藤君と立ち話をした。
すぐ近くの階段に座って、漫画を読み出した坂口君とユッキー。



読むのが早いユッキーについていけない坂口君は
ユッキーがページをめくるたびに『早すぎるよーっ!』って文句言ってた。
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ぽんさんからリクいただきました☆久しぶりのピカ工時代です。
(紺幸付き合う前)
ピカ工時代のお話とか、懐かしいなって思っていたので、
リクいただけてうれしかったです。もっともっと当時の話増やしたいなーって、あらためて感じました☆
ぽんさん、どうもありがとうございます。