NO3.マイラブ
2人きりで比呂の部屋。持ち帰ってきた仕事をしてる比呂。
俺はその仕事が終わるまで、比呂のベッドに寝転んで彼待ち中。
マンガを読んだりぼんやりしたりしながら、ゆっくり幸せなヒマ時間を味わう。

時々比呂のほうをみると、ノーパソに向かう背中。
俺の彼氏〜・・とかおもいながらじっと見てたら気がついちゃった。
少しだけ跳ねた後ろ髪。寝癖かな?バイトの休憩で寝たのかな?
どんな風に寝たらあんなとこに、あんな寝癖が出来るのかなあ・・・。

あ〜あ・・。大好きだなあ・・・。

俺はゆっくり起き上がって、読んでた漫画をベッドの上に
きちんと並べて置くと、自分のぽけっとの中をがさがさあさる。
こないだ兄貴が彼女にもらったプレゼントのリボンが部屋に散らかってて
捨てようとおもって拾ったまま、おれ上着のポケットに入れっぱなしで

比呂の寝癖にリボンでもしようかなーって、そっと髪に触れると比呂は
『何してんの?』って、すっごい低い声で俺にいうの。俺を見もしないで。

『飾りつけ〜』とかいったら比呂が、ボソッと俺に文句言う。
リボンしばったら我慢限界で、抱きつく俺。幻じゃない比呂。
俺、よく家でさ、比呂に会いたくて仕方ない時に、枕を比呂だといいきかせて
抱きしめて淋しさまぎらわすのね。
でもやっぱ実物は違う。しっかり体だし、あったかいし
俺の想像とは違う動きをするから、ちゃんとしがみついてないと。

しばらくそうやって一人いちゃついてたら、溜息ついた比呂がパソコンを消して
『よいしょ』って俺をベッドに寝かせんの。片手でカーテンをシャっと閉める比呂。

・・やった・・。ほんとの意味で2人きりの時間だー。


俺が一生懸命結んだリボンは、俺が比呂の髪をかき乱してる間に
ほどけてベッドのシーツの上にぱさりと落ちた。
せっかくかわいく結べたのになー・・っておもってたんだけどそのうちすっかりそんなの忘れて

ちょっと気だるい感じのキスだとか時々目をこすりながら俺に甘える感じとか
かわいいのに・・ヤラしいことするんだよー・・。もー・・。
・・でも俺を痛くしないようにしてくれる・・う〜ん・・愛されてる証拠なのかなあ。

バイト残業しちゃうとデート潰れちゃうから、仕事を家に持ち帰って頑張ってくれて
周りでうろちょろする俺を、テキトーにかまってくれたりしてさ。
やっぱ愛だよねえ・・。こんなに沢山もらってすみません。


いつのまにか眠ってしまっていた俺の体には甘い余韻が残っていた。
ぼんやりと目を開けると、ノーパソに向かう比呂の背中。
俺がTシャツを握り締めて眠っちゃってたからなんだろうな。
比呂は素肌にパーカーきてる。首の後ろの骨っぽさにキュンとなってどうしていいのかわかんなくなる。
ほてった顔を手で覆うと、かさりと音がしたから、あれ?っておもったら俺の小指にリボンがきゅっと結ばれてる。

もったいなくてほどけないよー・・。

嬉しすぎて、声に出して笑ったら、比呂がのそーっと俺の方を振り返って
『・・・起きたー?』という。
ベッドの中で頷いたら、比呂はまたノーパソの方に顔を向けてしまって
『腹減ったー?なんか食うかー?』って、低い声で俺に声を掛けるから
『まだいい。・・もうちょっと寝る。』って答えて、俺は布団を口元まで引っ張りあげた。

にやけた顔が元に戻んないの。


目を閉じてもあけても俺の前には比呂がいるんだもん。