2007/6/8 (Fri.) 08:55:01

比呂と・・モツ鍋を食べに行った。昨日は半日授業で・・午後はずっと俺はヒマで・・
ずっと比呂の事ばかり考えてたんだけどそしたら電話がかかってきて・・
夕飯食おうって誘ってもらって、何故かそれがモツ鍋のことで、2人で一緒に和風カフェにいって、
モツ鍋と・・あと比呂が煮魚と五穀ご飯を頼んでくれて、それを2人で食べた。

俺、あやまらないと・・とか、もう一度やり直して欲しいっていわないと・・って
思っているのに、勇気が出なくて、だから比呂が話す友達の話を聞きながら、ずっと笑っていた。

比呂はすごいなあと思う。あんなやり取りがあったあとだ。俺を誘うのにもきっと、勇気がいったと思うし・・
『メシはうまく食うってのが、俺のポリシー・・』とかいってたのを、以前にきいたことがあったけど・・・
楽しい話ばっかしてくれて・・別れたことを時折忘れてしまうくらい・・俺は幸せだった。

比呂が自転車で迎えに来てくれたから、帰りは比呂の自転車の後ろにのって送ってもらうことになって
俺は比呂の背中にぎゅっとしがみつきながら、昔の事を思い出していた。

初めて俺が恋心を意識したのは、確かこんな風に比呂に自転車で送ってもらった時だと思う。
それから長い片想いの期間があって、付き合えるようになったらもう、比呂に大事に大事にされて・・・

軽くて適当そうな比呂のイメージが、ガラッと変わったのを覚えてる・・。

『ねえ・・・。』比呂が俺に話しかける。
『なに?』俺は答える。
『あとちょっとだけ・・いい?』といわれたから、『うん。』っていったら、
比呂が俺んちへの道とは違うほうの道に曲がって自転車をこいだ。


適当な公園で比呂の自転車がとまる。『ちょっと・・歩かね?』っていわれた。
俺は比呂のあとについていく。比呂はベンチをみつけて、俺に『座りな。』っていってくれた。

比呂は隣に座らない。立ったまま、すぐ近くの木によりかかる。俺は黙る・・。すごくどきどきした。
謝るなら今がチャンスだと思った。でもやっぱり勇気が出ない。断られるのが怖かったんだ。

『うまかったね。鍋。』沈黙を破ったのは比呂だ。
上手に話をふってくれたから俺、肩の力がふっと抜けた。

『うん。うまかったね。』
『うん。』
『・・・比呂・・でもなんできゅうに誘ってくれたの?』

そしたら比呂が、ははって笑った。

『俺ー・・朝・・学校で寝ちゃってさあ・・。』
『うん。』
『そんとき、世界滅亡の夢見たのね』
『世界滅亡?』
『うん・・規模でけえ夢見ちゃってー』
『あはは。』
『・・目が覚めたときにまっさきに、お前の姿を確認したの。』
『・・・・・。』


比呂・・・。


『でもお前は、まだ生きてて・・あーよかったーって思って』
『・・・。』
『ついでに坂口、その他の人らを確認して、ああ、みんな無事だねーって・・・。』
『・・・。』
『安心して二度寝・・。』
『・・ふふっ』
『みたいな。』
『みたいな。ふふ。』

比呂がそばにあった石を蹴飛ばして、そのあとへへって笑った。

『全員無事だったお祝い。でもクラス全員で鍋も鬱陶しいから、ユッキーだけ・・・。』
『・・・・。』
『・・うまかったね。まじで。』
『うん。』



結局俺は、比呂に謝ることもできなくてヨリを戻して欲しいってことも言えなかった・・。
比呂が俺を家の前まで送ったあと、『じゃあ。おやすみ。』って帰っていく後ろ姿を
見つめながらぼんやりと、いろいろなことを考えた。

誘ってもらえてよかった・・・

煮魚を俺のために頼んでくれた比呂の優しさ・・
世界滅亡の夢なんかみて、ハっと目を覚ました時に
俺の姿を真っ先に確認してくれた比呂の気持ち

俺は・・いつも受身で愛情をもらってばっかで・・


もらうことに慣れてしまってたと気づいた。


涙がでた。
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