比呂の頬杖。

5時間目、ふと比呂の方を見ると、あいつ、頬杖ついてた。
なんか考えてるみたいな感じで・・多分さや君のことなんだろうけど。

とりあえず俺の事を考えてるわけじゃねえなって思って・・やたら悔しくなって、
けしごむ爆弾でも投げてやろうって気持ちになって、めちゃ気分悪いから、
けしごむ丸ごと比呂の腕めがけて投げてやった。

腕に向かって投げたんだけど、投げる時の姿勢が無理気味で
けしごむは比呂の手の甲に当たった。
比呂がむっとした顔で、消しゴムが飛んできたほうを見る。


投げたの俺だ。


思わず目をそらし、俺は教科書の文字をひたすら追った。
悪意があって投げたんだ。罪悪感が半端ナイ。
そしたらけしごむが友達伝いにまわってきて、
紙きれが巻きついていた。俺はそれ外して紙面に書いてあった文字列を読む。


<どうした?>


たったそれだけ。
俺は真っ赤な顔で比呂の方をみる。
比呂が今度は違う方の手で頬杖して俺のほうを見てた。

口の動きだけで俺は『好き』っていった。
比呂は、きょとんとした顔・・そのあと、赤くなって照れる。
一回で伝わっちゃうんだからすごいなって思って、俺は比呂に笑いかけた。
そしたら比呂が口の動きだけで『あほ』っていって、
前を向いちゃた。

頬杖ついて比呂はニヤニヤしながら黒板を見る。


・・きっと、俺の事考えてくれてる。


すっげーうれしくて、俺も比呂の真似して頬杖ついてみた。

2007/10/30(火) 22:30:39
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