2006.9.14

神様サンキュー!!

今日は俺の16回目の誕生日だった。いろいろ嬉しい事があったが、やっぱ一番は比呂とのデートだ。

デートといっても、それは俺が勝手にそういうテンションだっただけで、
比呂にそういう意識はなく、俺が誕生日だったから飯時までの暇時間を
一緒に遊んでくれただけなんだけど。

『どこがいい?なにしたい?』・・・比呂が全部俺の希望で動くというから
『お前のそばならどこでもいい。俺のことを好きになってほしい。』心の中でそういった。

口から比呂に伝えた言葉は『とりあえず、甘いもの食いたい。話が出来ればそれでいいよ。』

比呂は、変な顔をして『とりあえず甘いものって何?夜、家族でケーキとか食うんじゃねえの?』
とか言いながら、俺好みそうな喫茶店に入って、パフェを頼んでくれたんだ。

比呂は18時からバイトらしくて、サンドウィッチとコーヒー頼んで、それを食いながら話すことにした。

サンドウィッチにコーヒー、俺にはパフェが運ばれてきた。すると比呂は携帯のカメラでサンドウィッチをぱちりと激写した。
『どーすんの?』と俺が聞くと、『ちびに写メ』という。サンドウィッチ=小沢・・・なわけね。こいつの中では。

メールを送信したらしい比呂は、自分のコーヒーを左手で持つと、俺のパフェのグラスにカチンとぶつける。
『おめでとうございます。16歳』と言ってくれた。
『ありがとう』俺は照れくさくて、パフェの一番上に乗っていた真っ赤なイチゴをぱくっと食べる。
比呂はそんな俺を見ながら、『海老村なおー』だって。

海老村ってなんだよ。すーぐ思い付きで、色々なことを言い散らかす。

『なんだー?紺野キャロ』俺はそう言いながらパフェを食う。
比呂が何故か、にっこり笑って『なになに?キャロってw』とか話につられて食いついてくるから
『キャロットと比呂をかけて、きゃろ・・・』と答えたら、
『気に入って損したじゃねーか、ばっきゃーろー』と言われたよ。
気に入ったって何が?キャロ?

『ならばっきゃーろーのきゃろでもいいよ。』
『なにそのテキトー・・・っていうか、もう遅い。』
『なんで遅いのさ。』
『キャロットが人参だということくらい、俺にだってわかってるから。』
『わかってるから。』
『わかってるけどす。』
『まだそれいうかーー!!』
『あはははは』

なんだこの電波会話。俺の背後の席のOLさんが 『高校生かわいい』といったのが聞こえた。

比呂がサンドウィッチを食いながら、テーブルの下で俺の足を蹴飛ばして
『ねえ、あんたさあ、最近どんな曲聴いてる?』といってくる。
『あれ聴いてるよ。エルレ』
『まじで?!今度DVD貸してやろうか?俺、買ったから。』
『ほんと?みたいみたい。みせて。』 
『じゃあ、一緒に見ようよ。今度俺んちおいで。一人で見るよか二人で見たほうが楽しいし。』
『うんっ!!』

やったー!!未来の約束ゲットー!
(ゲットとか言っちゃったよもーポケモン世代ですみません)

『清水でエルレ、ライブやるの知ってる?』
『ええええええ?いきたいいきたい!』
『ねー、行きたかったねー。』
『えー?いけないの?』
『チケットとろうと思ったんだけどさー、駄目だった―。』
『そうなんだー。』
『チケ二枚とって、お前びっくりさせようと思ったのになあ。』

・・・え?

『ま、次があるよ。きっと。ね。 』
『・・ああ、うん。』
会話に押し流されて、肝心な部分がさらっと会話上に消えちゃったけど、
『チケ二枚とって、お前をびっくりさせようと・・・』って、俺と一緒にライブ行こうとしてくれたってこと?
比呂が俺の顔を見て、『なにした?』って心配そうに声をかけてきた。
視界がぼやけてるから、きっと俺、目の中涙で満タンだ。
『あくびしただけ』そういって、俺はパフェをガシガシ食う。
『この時間帯、確かに眠い。』比呂がそんなどーでもいいことをいう。

ふふ。最高。俺、こういう会話をしたかったんだ。
俺さ、自分でもじゅうぶん自覚済みなんだけど、些細なことを、すげー深く考えすぎちゃうんだよね。
どん底に落ちるとそのたびに真剣に話してくれる比呂。そういう時の比呂はすげえかっこいいんだー。

俺を引っ張りげるために、すげえ強くてしっかりとした考え方を俺にぶつけてくれるから。
だから、そういう比呂もすげえ好きだけど、でも一番は、やっぱ今みたいにさ、
なーんもなくて、事件も悩みもなくてさ、テキトーに言葉のやり取りしてる時の比呂がさ・・・
一番大好きなんだよなー、俺。

比呂は最近、俺と二人きりの時は、あんまりはしゃがないし、そんなにむやみに笑わない。
きっとそれって、あれなんだよ。俺に気を許してくれてる証拠だと思うんだ。
前の比呂はさ、俺の悩みに振り回されて・・いつでもそばにいてくれてさ
友達という肩書以上の重い荷物を俺のせいで背負ってた気がするから。

でも俺、小沢と仲良くなって、そしたら少しだけ比呂が俺と距離を置いて
俺と比呂の間にさ、なんつーの?風が通る隙間ができたら
俺も少し冷静になったし、比呂もなんか、俺に振り回されなくなって
なんていうんだろう・・・とにかくそうだよ。無理に笑わなくなったんだよ。

無理のなくなった比呂は、自分の素をさらけ出してくれて、
好きな漫画とか好きな曲とか、好きなものの話をいっぱいしてくれるようになって
その日の授業の話題だとか、部活の先輩の話だとかして笑ってるんだ。
今までは俺のことで、深刻な話ばっかしてたけど、それがなくなって、
ほんと眩しいほどにのんきな話題で盛り上がれるんだ。それが幸せなんだよねー。
ちょっとマニアックというか、若干怪しげな人のように思われるかもしんねーけど。

とにかくさいこー幸せな一日だった!家に帰ったら、家族全員で誕生祝してくれたし。
おそらく過去最高に、ハッピーなバースデーだったと思うよ。
みんなのおかげ。神様にも感謝。俺、生まれてきてよかったよ。

毎年毎年、過去最高の幸せをかみしめられたら嬉しいなあ!
とりあえず、一年間、一生懸命がんばります。

post at 00:23





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