最悪

今日・・塾のあと、前に比呂に連れて行ってもらったカフェに
一人ぼっちではいったんだー。

勇気でないから誘えないし・・誘ったとしても、きっちり友達対応されたら
クソ悲しいから一人でいったのね。そんで浸った。
思い出と美味い料理にさ・・。最近食欲もなかったから。

前に比呂が座ってた席に腰掛ける。
俺、いつ頃だっけかな。小沢と一緒に買い物いってさ。
そしたらここに比呂が一人で座って飯食ってるのを見たことあるの。
懐かしかったし、キュンときた。比呂が頼んでよく食っていたメニューを選んで
料理を待つ。そしたらドアが開いて、俺、その音に反応しちゃったの。

もしかしたら比呂が来たのかもしれないって・・・。
そしたらさ・・例の塾の女の子だったんだ。目があったら俺の方に歩いてくる。

『幸村くん・・・・ごはん?』
『え?・・・あ・・うん。』
『私・・お茶のみに来たんだけど・・・一緒にいい?』
『ああ・・・うん。どうぞ。』

・・・・・・断るのもあれだし・・・同じテーブル。まあいいか・・。

『何をのむの?』
『・・・えーと・・・・。』
迷ってるからメニューを開いてやった。
『ありがとう・・・じゃあ・・ミルクティーのもうかな。』
『ああ、ここのうまいから。すみませーん・・。』
俺は店員さんに彼女の注文を伝える。
俺の飯はすぐに出来たんだけど、彼女の目の前で一人じゃ食いづらい・・。
だから、ついてたデザートのゼリーみたいのを『あげる。』といって彼女にやった。

すぐに彼女のミルクティーも届く。少しだけ・・話をした。

『幸村くんの好きな人って・・どんなひと?』
『えー・・とね・・。うん・・。一緒にいると安心できる人』
『・・・・へえー・・・・。』
『ごめん。俺・・あんなことして・・・ほんと・・。』
『・・謝らないで下さい。本当に私の大事な思い出だから。』
『・・・うん・・・。』
『・・・一緒にいて安心できるなんて・・・いいね・・。』
『ああ・・うん。・・ほんといいやつなんだ。』
『・・・・うん。』
『でももう俺、ふられちゃったんだけどね。』
『・・・・。』
『忘れられなくてさ・・・。うん。』
『・・・・・・。』


俺の事を好きだといった子に、比呂への思いを話した俺。
ばかだな・・。ほんとヒドイ男だ。食ってる飯の味もしない。
彼女はとてもいい子で、自分が俺のどこを好きになったとか色々話をしてくれた。

さっさと飯を食った俺は、席を立つ。彼女も席を立った。
支払い2人分したら、彼女が財布を出すからびっくりした。
『いいよ。俺が出すから。』
『え?そんな・・でも・・。』
『いいよ、そんなの。』
『ありがとう・・・・。』

比呂はいつでも、俺の飯代払ってくれてたなあ・・・・。
彼女が俺を幸せそうな顔で見る。少しだけ、ぐらっときた。
俺もこんな顔で比呂をみてたのかな・・・・。

2人で店を出ると、外は冷たい風がびゅんびゅん吹いてて・・
そしたら向かいの美容室の前に、見慣れたバンがとまってて・・
店から軍手にエプロンの比呂がサボテンを持って出て来たんだ。

心臓が止まるかと思った。
俺はそのとき、彼女の手を無意識に握っていたとこだったんだ。


『・・あ・・、紺野くん・・・』
『え?知ってんの?』
『知ってるよー。だってすごい有名だもん。文集コピーして
引き伸ばして手帳に貼ってる子までいるよ。』
『え?!!』
俺の驚いた声に、比呂が気づいてこっちを見た。目が合う・・・しまった・・・。
比呂は一瞬ぼーっとしたあと、俺に手を振ってにこっと笑った。

俺は彼女の手を離す。比呂が俺に近づいてきた。

『こんばんわー。』
彼女に挨拶する比呂。彼女はすっごい緊張したような顔で
『こんばんわ・・・。紺野くんですか?』とかいってる。
比呂がははっとわらって『え?俺ですか?はい。紺野です。』とかいって、俺に膝蹴りしてくる。
『なんだよ!おっまえ・・かわいいじゃん!彼女。』

・・・・・彼女じゃないよ。

『比呂・・バイト中?』
『ああ。急に仕事はいってさ。でももう終わった。店帰っておわり。』
『そう・・・。頭の傷、大丈夫?』
『ああ・・大丈夫だよ。じゃ、俺いくわ。』
『・・・・・・うん。がんばって。』
『おう。じゃ、また。』

俺の隣に立ってる女の子に、軽く頭下げると比呂は
店のバンにのって、いってしまった。

『実物、すっごいかっこいいねー・・。』
『うん・・。』
『思ったよりおっとりした人なんだね。』
『うん・・・』

そうだよ。そんなあいつを俺は大好きなんだ。

彼女と別れて家に帰る。今日ので息の根止められた気分だ・・・・。
もう比呂は、ヤキモチの一つも焼いてくれないんだな・・・。
どーでもよくなっちゃったんだな・・・。強いよな・・比呂は・・・。


もうだめだ・・・・。挫けそう・・・。


2008/02/24(日) 23:54:01
NEXT