涙がでるよ


放課後。比呂と少しだけ話をした。
なんか、急に大人っぽくなった比呂をみて
不安になったから。

ここんとこ、比呂の笑顔に少し無理が混ざってる気がしてて
それは完全に疲れからくる無理で

そんなに頑張らないでくれよって・・いいたくて呼び出したんだ。

さっき俺、不安っていったけど、浮気されるとか、そういう不安じゃなくってさ。
比呂の体が心配なんだ。頑張りすぎでも人は死ぬんだから。

『疲れてるでしょ』っていったら、比呂は首を横に振る。
あまり人がいない公園だったから、比呂の頬にてを添えた。
比呂が俺の顔をじっと見た。そしてそのあと、目を閉じる。
閉じると長いまつげ。

俺は、お前の重荷にしかなってなくてごめんね。

『あんま無理しないでね。』
涙堪えて比呂に言うと、比呂は笑ってくれた。
『うん。わかった。』
そういって、今度は比呂が俺の頬を撫でた。

比呂のふとしたときの表情が・・・ほんとに俺の心に刺さるの。
夢か幻みたいに・・・ただそこにいるだけで俺は心震える。
なんだろう。愛してるのに悲しい。
今日の比呂に、二度と会えないことすら悲しく思えるくらい愛してるよ。
隅々まで、今の俺には比呂が全て。

『生き急いでるみたいに見えるよ。俺をおいていかないでよ。』
そんなわけのわかんないことを、比呂に言って俺は抱きついた。
そんな俺を、比呂は抱きしめて、かすれた笑い声をちいさくあげた。

『那央』っていった。

『ありがとう』っていった。

俺の涙が比呂のシャツを濡らした。

俺のピンクの髪の毛を濡らしたのは誰の涙だったんだろうね。





2008/05/22(木) 23:11:11
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