2008/6/29(Sun)08:20:10

那央は・・俺が言ったことを、何でも忘れちゃうのかな・・。
女の話すんのやめてとか・・何度言っても繰り返す。
悪気が無いから繰り返すんだろうなって・・わかってんだけど
そのたび俺は、やっぱり悲しい。体の真ん中を悪意無くえぐられる。

最近・・子供の頃のことを思い出すようになってきてて・・
一日に、何度も何度も音羽君のことを思い出してる。
毎日思い出さないと顔とか声を忘れちゃう気がして
繰り返し思い出して、今日まで俺はつないで生きてきたんだけど、
今は現実逃避もかねてそういうことをしているからなのか・・
ロクでも無いことばっか考えるようになってる気がする。

俺、おっくんのこと、大好きなんだけど、ひとつどうしても許せないことがあって・・
それは何かって言うと・・好きな女がいたっていうのに、俺の母親とヤったってことだ。

大事な気持ちがあったはずなのに、どうしてそんなことが出来たのか。
大事な人がいてもそういう行為が出来てしまうことが気持ち悪かったし
だけど、そういうおっくんの過去を認めたくなくて、どうしても正当化したくて・・
あのときのおっくんの精神状態だったから、仕方が無かったんだと自分を納得させた。

好きな人と別れさせられて、自暴自棄になってたから仕方なかったとか・・
俺の母親が汚い手を使って誘惑したせいでそうなったとか・・
散々考えて、やっぱおっくんがしたことは、仕方が無かったんだって思ったとき・・
俺の存在が心をよぎった。


俺は・・一人の男の人が、自暴自棄になったときに
どうしようもないバカ女が、汚い手で誘惑なんかして
仕方なしに出来た子供。やっぱふっきれるわけがない・・・。
一生自分についてまわるそれを考えないようにするしかないのに・・
俺自身がその事実の証拠じゃん・・。俺の人生は、二人が間違いを起こしたときに始まった。

気持ち悪い。俺自身の全部が。

おっくんの墓参りにいったとき、寄ったじいちゃんの家の中で
笑い声上げて話してた親戚の人たちが、俺の顔を見た途端いっせいに黙った。
そのあと続いた沢山の言葉。何一つ俺は言い返せない。
駅に向かう途中、気がついたらリクの墓に向かって俺は歩いていたんだ。
そんで墓の前に立ったとき・・あー・・なんで死ぬのが俺じゃなかったんだろうって思った。

リクが死んだとき、みんなが泣いた。おじさんやおばさん・・亜樹だってそうだ。
あんなにいいやつで、家族もすごく仲がよかったのに・・
死んだのがリクだったから、みんなが苦しんだ。

あれが俺だったら、・・死んだのが俺だったら・・みんなの幸せは続いていたはずなんだ。

那央だって・・俺がいなかったら、告ってくれた女の子と
今頃幸せに付き合ってたと思う。
将来だってたやすく夢見れただろうし・・ヤキモチや嫉妬や不安なんか
抱え込まないですんだだろう。

今まで何度もあいつは、別れるきっかけを作ってきてくれたのに
結局俺が諦められなくて、全部この手でつぶしてきた。
俺、自分の未来を夢見れるような立場の人間じゃないだろ・・。
わかってるのに、まだ図々しく生き続けてる俺。


最悪だ。
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