2006/5/1 (Mon.) 23:20:15
朝、学校に行ったら、いきなり幸村に『もう俺はお前に甘えない』宣言をされた。
俺は遅刻寸前でダッシュで来たとこで、正直それどころじゃなかったんだけど、
教室前でそれを言われ、返答に困っていたら、頭をバコっと叩かれて、誰かと思ったら先生だった。
『遅刻にする?放課後の手伝いにする?』
『・・・・・・手伝いで。』
手伝いでも遅刻でもどうでもいいよ。幸村どうしちゃったんだろう。
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放課後。俺は『先生の手伝い』という名のお仕置きのため、工具室を片付けていた。
今日一日を振り返ると、とにかくほんとに幸村がおかしかった。
笑えるおかしさだったらよかったんだけど、そっちの『おかしい』じゃなくって
教室の移動もひとり、飯もひとり・・あげく部活も休むとか言い出す始末。
ちょっと心配で声をかけたんだけど、『放っておいて。』といわれちゃったから
俺は先生との約束もあったし、『じゃあまた明日。』といって別れた。
工具室を片付けてたら、佐伯が声をかけてきた。
『ユッキーは?』『知らない。』
『あっそ。今日さ、部活やすみだから。』『なんで?』
『体育館の床が抜けたんだって。業者が来て直すらしいよ。』『床が抜けた?!』
俺は幸村のことが心配だったんだけど、佐伯がもってきた体育館の話に
ついつい興味がいっちゃって、数分そのまま話し込んでしまった。
まあ体育館の話なんて最初の三十秒ぐらいで、残りはこないだナンパした女の話。
工具室で、先生に頼まれてた探し物をようやく見つけて、
俺はそれらをダンボールにつめ、機械科の職員室に行くことにした。
そしたら佐伯も『レポートださにゃ。』といって一緒に行こうとかいう。
工具室を出て、鍵を閉めて、廊下の先をみてぎょっとした。
そこにはいないはずの(いや、いてもいいんだけど)幸村がしくしく泣きながら立っていたからだ。
『・・あれは・・・泣いているのかな?』『・・・。』
幸村は泣き虫だけれど、他のやつの前では、まず泣かない。
そしたら佐伯が気をきかせて『俺、先にいくわ。荷物どうする?』という。
だから俺、『いいよ、幸村とはなししながら持ってくよ。』といい、
佐伯のケツを蹴飛ばした。
『いてえ』っていうと、佐伯は俺の背中に蹴りいれて走り出した。
そんで幸村を追い越すときに『ユッキ、今日部活休みだからね。』
と肩をたたいて階段を上っていった。
うーん・・・。何で泣いているんだろう。
この場合・・『もうお前には甘えない』宣言された俺としては、
何もいわずこの場を去るべきなのかな・・・。
わかんないから、立ち止まっていた。放っておくのもどうかと思って。
そしたら幸村は、本泣きしだして、『比呂・・比呂・・。』とかいいだした。
よしよし。俺が必要なんだね。
俺は幸村に駆け寄った。