2006/5/3 (Wed.) 23:36:29

比呂が俺んちに泊まりにきた。正確に言うと泊まりに来てもらった。
だって今日うちに誰もいねえんだもんっ!!!
両親は、親戚の人らの集まりで北海道にいっちゃったし、兄ちゃんは女とワイハ。
ねえちゃんは、彼氏とマカオ。なんでみんな俺を置いていくんだよ!!

だから俺、急に一人ぼっちで、夜とか怖いから比呂に助けを求めたってわけ。
そしたら『いいよ。』って言ってくれた。『家族全員、本州留守にしてるってすごいね』だって。

バイト帰りだから22時過ぎになるっていうから、風呂の支度だの夜食の準備だの、超かいがいしく働く俺。
ただの友達ならそこまでしないが、なんてったって、相手は比呂。好きな男のためならば、なんでもしたい。

そうこうしてたら、比呂が来た。2泊してもらうから結構な荷物。
手土産がケーキとエロビデオだった。明日佐伯に返さないといけないんだって。
風呂は家で入ってきたみたいで、部屋に入ったら部屋着に着替えた。
いきなり俺の前で脱ぎだすからマジで焦る。・・・意識する俺のほうが変なんだけど。

『ねえ。シチューくう?』『?』『夜食につくった。』『うそ!すげえ。』
比呂は、食べるって言ってくれた。だから俺、台所にいって、
シチューあっためて、ついでに飲み物入れて二階にあがった。

すると、比呂が俺の部屋のソファーで眠そうにしてる。バイト上がりのこの時間、疲れてるよなあ・・。
俺のベッドはソファーベッドで、普段はソファーにしてあるんだけど、
そこにクッションをおいて、ぽーーーっとした顔してかわいい。
眠いのかな・・シチューどうしよう・・。ぼったってたら比呂が俺に気がついた。
『やったー・・ありがとう・・。うれしい。』という。俺の心、どきどき。
俺はテーブルにそれらを並べ、スプーン渡し、エロビデオをセットしてやった。

生涯初めてエロビデオを見る。しかも初恋現在進行中の子と一緒に。
さらにいうと、料理だって中学のときの家庭科以来だ。もう俺今日は、具沢山で大変ですよ。

比呂は、ビデオ見ながら、シチューを食う。『あったかい。おいしい。』っていいつつ、
にんじんだけは俺の皿に入れてくる。エロビみながらシチュー食う比呂は、なんかいつもの比呂と違う雰囲気。
いや、実際比呂はいつもどうりなんだろうけど、俺が勝手に意識してしまってるんだろう。

二人きり。俺の手料理。エロビ。けだるそうな比呂。俺は比呂のその姿に、妙に『男』を感じてしまう。
俺も男だっていうのに、なんか・・へんに・・こう・・あれだった。

そしたら比呂が、ビデオを止めた。『駄目だ。つまんない。』といってビデオを止めた。
『こういうの、好きじゃねえの?』と俺は聞くと、『演出がくどいのは好きじゃない』と比呂は言う。

・・・ふーん・・。やっぱそういうのも好みってあるんだ・・。俺は、シチューを口に運んだ。


・・・・・・・。


う・・・うす!!!!つか、まずい・・・。あれ?!なんで!ちゃんと箱みて作ったのに。

でも比呂はもうちょいで全部食べ終わる。無理して食べてくれたのか?
『ごめん!比呂!これ、不味いよな!』あわてて俺がそういうと、
比呂は鳩が豆でっぽうみたいな顔で俺を見た。
『え・・おいしいよ?』『そんな・・気を使うなよ!』
『・・・別に俺は・・。』『残しなよ!ごめんごめん!』
『・・お前それ、食べないの?』『だってまずいじゃん。』
すると比呂は俺の皿を自分の皿と取り替えて
『じゃあ食べていい?俺、こういうの好き。』

にんじんだけ、ほとんど空になってた皿にのっけると、比呂は俺の分も綺麗に食べてくれた。


・・一回に降りて食器を片付けて、歯を磨いて顔も洗って、俺らは二階に二人で上がった。
ソファーベッドに俺が腰掛けたら、比呂がクッションを俺の腿にのせる。
『眠い。10分寝てもいい?』っていうから俺は、『いいよ』といった。

そしたらほんとに、比呂のやつ、俺の腿の上でくうくう寝てる。
かわいい寝顔。すごい小さな寝息。じゅ・・10分って・・・。


10分もこの幸せ堪能していいのかっ?

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