2006/5/7 (Sun.) 10:06:26

連休後半の土曜日。俺はこんにょを誘ってバーベキューをやった。
河川敷に来た紺野は、その光景を見て、あっけにとられている。
なぜならそこには俺しかいなかったからだ。

『・・・・・え?バーベキューをサシでやんの?!』
『そうだよ。たまには語ろうぜ。』

俺は七輪の炭に火をつけた。

『お前と俺とで何語れっつーんだよ。ブロッコリーばかっ・・』

こないだぽろっとブロッコリ嫌いを明かしたら、それを妙に気に入ったみたいで
そればっか言ってるんだよねこいつ。

ぶつぶつなんかをぼやきながらも、紺野は買ってきた肉を焼き始めてくれた。

語ることなら山ほどあるさ。お前は入学以来、幸村とばっかつるんでるし。
ユッキー抜きで遊んでもみてえじゃん。

だって俺は・・。

『ねえ、焼けた。肉が。』紺野がそういって肉を俺によこす。
俺は焼肉のたれを入れた紙皿を二つ用意した。

無言で食う俺ら。風がちょっと強いけど、外で食う肉は最高うまい。
紺野が大きな石を持ってきて、『ほら。いす。』と俺によこしてくる。
座って食えってことなんだろうな。


・・・・入試のとき、初めて紺野のことを見かけた。

隣の席でテストを受けて、面接では俺はあいつのあとだった。
すれ違うたびに、いいにおいがして、横顔がなんかすげえ儚げで、
一瞬で俺は紺野に惹かれた。

夢にみるほど好きになっていた。

入学式の日、紺野の姿を見て安心する。受かってよかった、俺もあいつも。
これから三年間一緒だなーって思って、話しかけたかったんだけど、
声をかけるきっかけもなく、廊下をうろうろしていたら、紺野が俺の顔をみて、
ははっと笑いかけてきたんだ。

チャンスだ。

そう思った俺は、ボケ顔でこっち見てる紺野に声をかけた。
そしたらこいつは『どうも』といった。
『受かったんだ。よかったじゃん。』

そんなかわいいことを言うから、俺は紺野をくすぐってやった。
そしたら紺野は俺の腕の中で、けらけらと屈託なく笑ったんだ。

すげえうれしかった。クラスは違ってしまったけど、部活はあいつもバスケ部に入ったし。
仲良くなることには成功した。でも俺はどうやら、『友人そのイチ』だ。

紺野のクラスに、幸村がいて、紺野のそばから離れない。
紺野も幸村を気づかっているし、あの二人はどうも親友くさくなっている。

バーベキューは楽しかった。俺はほとんど黙ってたんだけど、紺野が勝手にしゃべって笑ってた。
『悩みとかねえの?』と直球で聞いても『悩み?・・・にんじん嫌いを克服したい・・かな。』だって。

にんじん嫌いを直す気なんて、さらさらねえのはお見通しなんだよっ。

後片付けして、紺野がごみ担当で、俺は七輪つんで、途中までチャリを押して歩いた。
そしたら紺野の携帯がなって、電話に出た紺野。

『幸村だ・・。もしもーし・・・あれ?・・・どうした?』


・・・・結局幸村・・。

家に帰り、七輪を庭で洗い、チャリ片付けて、七輪を干した。

庭木を見てたらむかついて、俺は木の幹を蹴飛ばした。
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