2006/7/12 (Wed.) 07:44:12
テスト二日目。昨日の焼きそばの効力か、テストはまあまあ出来たと思う。
今日も午前だけで、さあ帰ろうと思ったら、教室のドアから紺野ちゃんが俺を見ていた。
目が合うと、『浅井。ちょっと。』という。なんだろう。ピンクさんはいないな。
紺野ちゃんは手にリュックを持っている。だから俺も帰り支度して、紺野ちゃんの方に歩み寄った。
『どしたのー?』『・・・。』
・・・・あれ?なにを泣きそうな顔してんの?
俺のクラスのやつらが、『どうした変態。テスト結果でも悪かったのか』
『あれ?迷子?2組のまでおじさんがつれてってやろうか?』と
口々に声をかけ、紺野ちゃんの肩をポンポンッと優しくたたいていく。
『うるせー。』とか『早く帰れー。』とか、いちいち反応する紺野ちゃん。
いつもはウダウダ教室に残ってる俺のクラスだが、
気を利かせたのか、あっというまに全員帰っていってくれた。
さて。
『どうしたのー?紺野ちゃん。』
『・・・・。』
『ユッキーと喧嘩でもしたの?』
『ちがう。あいつは、今日は塾。』
『・・・・紺野ちゃん、バイトは?』
『今日は休み。』
『・・・・じゃあ、たまには俺んちにきなよ。駄目?』
・・・元気がないなあ・・・。
『駄目じゃないよ。・・そうじゃなくて・・・・。』
『・・・・?』
『・・・瑞希、ほんとに転校しちゃうわけ?』
・・・・・・
『は?』
『お前らとーちゃんの会社にさ、うちのクラスの坂口の父ちゃんも勤めててさ。』
『あ、そうなの?』
『うん。あいつんちは営業だけど。・・で、こないだの人事異動で浅井って名前が出てたとかいうから。』
『ああ・・ちがうちがう。俺んちは今回は大丈夫だったよ。』
『・・・・。』
『・・・・。』
『・・・・・。』
『紺野ちゃんそんなことを心配してたの?』
すると、紺野ちゃんがボロボロボローーーーーっと、涙をこぼした。俺は驚きのあまりの声が出ない。
教室の入り口にしゃがみこんで、紺野ちゃんは、ひっくひっくいいながら泣いてしまった。
背中をさする。それぐらいしか思いつかないから。紺野ちゃんは、泣きながら、ぐずぐず色々言っていた。
その中で聞き取れたのは、彼の話したほんの一部だけど、俺はその言葉を心に刻み、
彼が泣き止むまで、背中をさすった。
ばかだなあ。こんにょちゃんは。そんなことで心配をして。
だけど、ありがとう。そんなになるまで俺のこと、心配してくれて。
それと、もうひとつ。
俺のこと『瑞希』って言ってくれたの初めてだね。