2006/8/17 (Thurs.) 09:21:35

朝起きたら、ピンクのあの子がベッドの脇にすわっていた。
約束もしてないし、部活だって今日はないし、俺は10時からバイトだけど、
この人がここにいる理由だけはまったくわからない。

『どうしたの』ときいたら、『おはよう。』といわれて
『おはよう』と言い返したら、『話があるよ。』といわれた。

俺は寝起きだし、昨夜暑くって、ぱんいちで寝てたから、
ほぼ裸だし、服着たいし、そういえば腹減った・・・。

『なんで裸なの?』
『・・暑かったから・・。』
『女連れ込んでたんじゃねーだろうな。』
『・・この部屋では誰ともヤんねーよ。』
『・・・信じていいんだな。』
『いいよ。』

・・・何この会話・・・。

『話があるよ。』
『(・・二度目)』
『それはすし屋での件だけど。』
『(・・・・・えー・・)』
『あれ以降、かおりとは会っていないな?』
『会ってないよ。』
『絶対だな。』
『絶対。』
『ならいい。』
『(なんだそりゃ)』

幸村がへへっと笑う。こいつ本気でそんなことをきくために、早朝にうちにやってきたのかな。
わけわかんね。幸村は林間学校用に買ったリュックを背負ってきてて、それをおろすとチャックを開けて、
なにやらがさがさと漁っている。そんで一枚のDVDを俺に差し出してきたんだ。

『なにこれ、AV?』
『あほ。昨日のイエメン戦をとってやったんだよ。』
『え!昨日のアジアカップ予選?』
『そうだよ!ったく・・DVDみりゃすぐアダルトだと思ってきらきらしやがって。』
『・・・すみません。』

『比呂が好きな田中がでてたよ。』
『え!ほんと!俺まだニュースとかみてねえから。トゥーリオは?』
『でてたよ。頑張ってた。』
『まじで?!』
『それ比呂にあげるよ。だからバイト終わってからでも見たらいいよ。』
『うっそ!!いいの?ありがとう。超うれしい。』

うわー。すげえうれしい。昨夜、バイトで見れなかったから悔しかったんだー。

幸村は俺を見て笑うと、背後からおぼんをすっとだしてきて
『オバサンが、朝飯だって。俺の分まで作ってもらっちゃった。』といって、すげえ嬉しそうに言う。

そして、そっぽをむいて『2人で朝飯なんて・・け・・結婚してるみたいだよね。』とかいうの。
俺は、味噌汁すすりながら、てきとうに『あーそうだねー。』って返事をした。

そしたら幸村泣き出しちゃって、俺、ぱんいちで思い切りうろたえちゃったよ。

『なんかあったの?』ってきいたら『なんでもない。』っていう。
あじの開きを頭からバリバリ食ってて、猫みたい。しかしなぜ泣く?

結婚に憧れてるのかな?そういやこいつ、かないそうもない片思いに悩んでいるって言ってたし。
いつも励ましてもらってるから、たまには遊びに行こうかな。

『ねえ、今日、バイト上がったら、どこか遊びいく?』と俺は言った。
すると幸村は、あじの開きをくわえたまま、うんうん頷いた。

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