風呂時間。
比呂は同じ班の坂口と一緒に脱衣所に向かった。
俺は小沢と同じ班で、一緒に脱衣所にいって比呂たちに会う。
『他のやつらは?』と小沢が言うと、『もう入ってるみたいよ〜』と坂口が言う。
さっさと脱いでく比呂と坂口。

『こんにょちゃん。』『?』
『こういう場合、隠してはいるべきですか?』『隠す?なにを?』
『だから、それ!それだよ!』『お前突然指差すな。』

・・・うらやましすぎる坂口・・・。俺は指をさすどころか、チラ見する勇気さえでない。
俺が溜息をついてうなだれると、視線の先の小沢ちびっこりが、目を光らせて比呂たちを見ていた。
『対象。ただいま大浴場に入りました。』
・・・・どうやらリアルパパラッチ開始らしい・・。おざわ・・・・。

風呂場に入ったらクラスの殆んどのやつが浴槽に浸かってて
比呂と坂口は隣同士で、体や髪を洗っている。
俺は、やつらに背を向ける感じで、ちょいズレ気味なポジションを選んだ。
隣に小沢がちょこんと座る。そしておもいっきり比呂を偵察しだした。

背中越しに比呂たちの会話が聞こえてくる。

『しかしよかったねー。気温下がって。』
『比呂はどこに避難してたんだー。』
『幸村の班。』
『へ〜。』
『あいつら班、すげえいいぜ?でかい木が近くに二本も生えてんの。』
『まじで?!』
『洗濯もんとか干せるよなー。ロープ渡せばさー。すっげーアウトドアって感じでいいよなー。』
『っていうか、俺ら班、洗濯物どこに干す?』
『・・あの大きな岩とかに干す?洗ってあの上に置いとけば乾くんじゃねえ?』
『でも人数分、のっかんないでしょー。』
『あー、微妙だねー。それに風でとんじゃうかもしんねーし。』
『やっぱもっと岩が必要だよね。あの大きさ無理だとしても、せめて半分くらいの大きさとかでさー。』
『5人で運ぶにしても、重いよなー。リアカー借りる?』
『そうだねー。飯のときに話し合おうよ。洗濯は大事だから。』

・・・なんか・・2人で必死に明日の洗濯物のことを心配してる(爆笑)

その後、浴槽の奴らが、でかい声でシモネタはなしだした。
その声で、坂口と比呂の会話が全然聞こえない。
青姦話なんかどーでもいいわ!!

すると、隣の小沢が俺に囁いた。
『どうやら岩のサイズについて話し合っているもよう。』
・・・まーだ洗濯の話してんの?
『なんかねー、坂口が手で、なんかの幅はこれくらいでー・・とかいってる。』
『・・・・。』
『・・で、比呂がふふって笑って頷いてる。』

うおーーーー!!!!



なんじゃそりゃ!見てえ〜!!笑顔みてえよ〜!
生で微笑を拝みたい!!

そしたら2人のほうで、ざっぱーんと湯をかけるような音がした。
『あ、体洗い終わった。浴槽のほうに行くもよう。』
ん。報告ご苦労。

俺が横目で比呂の裸を盗み見しようとした瞬間、
『あ!!』と比呂が声をあげた。

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい

一瞬も見てません



全身全霊で反省してたら、2人がまた話を始める。
『全員のビニールシートひいて、石で重石してそこに干すっていうのは?』
『お!こんにょさん、あったまいー!!!』


・・あんたたち・・

いつまで洗濯の話してる気なんだ・・・