朝、目が覚めると、のけぞるほどの大雨だった。
えーー!!昨日はあんなに晴れてたのに!

しょうがないから今日の朝飯は、火を使わないでできるものにする。
ツナサンドとー、ハムサンドをつくって、バンガロー内で地味にくった。

そんで、10時のオリエンテーリングまで、のんびりグダグダすることにした。
そしたらバンガローのドアが、こんこんっていって、『あのぅ〜・・保健委員の人ぉ〜・・・。』と、
消入るような紺野の声がする。

俺はあわててドアに向かう。頭がボンバーだけど気にしない。
ドアをあけたらカッパきた紺野が、指から血を流して、半泣きになってたっていた。

んぎゃーーー!!なんだその血!!!

『どーしたのっ!』
『ふざけてたら切った。』
『なにで?包丁で?』
『うん。』
『すげえ血じゃん!大丈夫?』
『うん。バンソコちょうだい?』

・・・・・

バンソコで事をすます気か?こいつ!!!



騒ぎを聞いた小沢と加藤が寄ってきた。
『ばかじゃねえ!おまえ!先生呼んでくるよ。』
加藤がそういってカッパを着だす。
『いいよ。押さえとけばすぐ止まるから。』
比呂が、そんなことを言う。
『だって、傷ふかそうじゃん。』
『・・だって・・先生に怒られたら、やだし・・。』


『『『・・・こんにょ・・・』』』

『じゃあ・・とりあえず、ちゃんと傷みせてみな?』
小沢が言う。比呂は黙って、言うことをきく。
加藤と小沢が比呂の指を見て『案外大丈夫そうだね』といった。

俺は救急箱を開けて、消毒とバンソコをだしてきた。
消毒を見たら比呂が嫌そうな顔をする。
『いいよ、消毒・・・。』
『だめだよ!ばい菌はいったらどーすんの!』
・・って、

俺はおかーさんか!



『今時の消毒薬はしみないよ。』
そういって、小沢が比呂の指に消毒をかける
すると比呂がすごい、痛そうな顔をする。
『傷が深いんだから、消毒じゃなくてもしみるだろ。やっぱ縫ったほうがいいんじゃね?』
加藤が、比呂に真顔で聞く。

『大丈夫大丈夫。もう治った。』
ありえないホラをふく紺野の指に、俺はバンソコをまいてあげて、
『でも一応、先生に見せようね。』
と、真剣な顔で声をかけた。

言うこときけ・・頼むから言うこときけ。

心の中で俺は言う。
すると比呂は、じっと俺を見て、『・・わかった。』といって、外に出た。

『ちょっといってくるよ。』
俺は小沢らにいって、合羽を着て比呂の手を引き先生らのバンガローに向かう。
『ちょっと坂口らに声かけていくよ。』
そういって、比呂が自分のバンガローに寄る。

すると中からパンツ一枚の坂口らが飛び出してきて
『大丈夫?』『先生のとこ行く?』『一緒に行こうか?』
と比呂に声をかけていた。

紺野に親はいないけど、保護者がいっぱいついてるかんじだ。

『幸村といってくるからいいよ。すぐもどる。』
そういって、比呂は俺のところに戻ってきた。


『どうしてきったの?』
『包丁を、洗った後に、「この包丁って、肉は切れても手はきれないってやつかな」とかいいだして・・。
じゃあ試してみようってことになって、俺が試したら、指が切れた。』

『ばか』




先生のバンガローにいったら、比呂はみんなに笑われた。
怒る先生はいなかった。でも一応キャンプ場の医務室に行くことになった。
縫う縫わないの話になったらしいけど、最終的にボンドみたいなやつで、指の傷をくっつけたらしい。
そのへんの詳細はわからないんだけど、
血が止まって、とりあえずよかったよ。