10時からオリエンテーリングのはずだったんだけど雨が酷くて中止になった。
そんで2組全員でオリエンテーリング用に先生が用意して置いた看板や目印、
問題プリントを回収することになった。

運動神経のいいやつらは、奥地の危険なほうの回収に先生と向かう。
まあ普段なら危険じゃない場所だけど、この雨風だと少し心配だってことで。

危険地帯行きは岸先生と長嶺先生という若い先生に、坂口・紺野・楠本・斉藤。
超絶運動神経のいい、スーパーチームだ。
比呂は指を怪我してるんだけど、どうかな・・大丈夫かな・・。

俺は自分ら班のやつと、アルファベット看板の回収を終えた。
すると木の向こうに斉藤らを発見。

『ゆっきー!!』手を振ってくれたのは斉藤。回収終わったのかな?

『おわったー?』
『おう。後は坂口が4番とるだけー!』
『あれ?他の子達は?』
『紺野らはもっと奥のほうにいった。』
えー・・大丈夫なの?

『よーし!とれた〜!』坂口が4番プレートを持ってはしゃぐ。
『紺野、指大丈夫かなあ。』ときいたら、坂口が笑顔でいった。
『うん。今、木登りしてるよ。彼。』

・・・えーーー?!

『こんなに風強いのに大丈夫なの?』
『うん。長嶺先生と2人でのぼってる。』
『なんで?』
『木の上のほうにネコみたいのがいてさー。風が怖くって降りれなくなってんの。だからそいつを助けてる』
『・・・・・。』
なにやってんの?けが人が!
『長嶺先生、どうぶつ好きだもんね〜。』斉藤が笑う。
『なら先生だけで登ればいいじゃん。』俺が言うと坂口が笑って
『先生に輪をかけて、小動物命じゃん!紺野エロ。』
『・・・・そうでしたー・・。』

だけどだけど・・ケガしてんだよ。心配だよ。

遠くで雷の音がする。雷怖い。俺、雷苦手。
『先に戻ろう。看板もってかないと。』『うん。』
そういって俺らはバンガローのほうにむかっていった。

5分遅れで紺野たちが泥だらけになって帰ってくる。
『どうしたの?!』駆け寄ると、長嶺先生がゲラゲラとわらった。
『2人して落ちた。木から。』腰をさすって先生がさらに笑う。
すると楠本が比呂を指差して、ヘラヘラしながら言うんだ。

『いきなり雷がなったから、ビックリして落ちたんだよ、このひと。』
それをきいた俺が、比呂をじっとみると、『だって・・。』といって比呂がしょぼんとする。
も〜。かわいいな〜。

っていうかこの人、散々だな。(にやり



『怪我ない?』俺が聞くと、比呂は感動したような顔で俺を見て
『大丈夫。超大丈夫。』


心配をして欲しかったんだね