『それなら俺もわかるよって。わかってるから大丈夫だよって。』

『・・・・・・・。』

『・・・・。』

『・・・・・・・・・。』

『それだけです。沼田さんが言ったのは。』

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『おいっ、秋山っ。飯。 』
沼田の声で我に返る。
『ああ、ごめんごめん。』
顔をあげると沼田がいて、目が合った。


結局あの後、俺が沼田に何かをしてやれたのかというと・・
悲しいことに何もしてやれてない。何をすればいいのかわからない。

あの時、坂口が必死になって俺に話してくれたことや、
沼田が言ったという、『わかるよ。』って言葉を、
何度も何度も思い返して、どうすりゃいいのかと考えた。
言葉の重さはわかってるんだ。沼田の短い言葉の中に
沢山の意味が詰まってることも。

でも、やっぱりどうしていいのかわからない。

とにかくしゃべれ‥それはわかるんだけど、
でもそれができない人間も、やっぱいる。

わかってたってできないんだよ。

だから沼田にはずっと一緒に俺のそばにいてもらって、
いつか俺が全部話せる時まで、待ち続けてもらうしかないんだと思う。

とりあえず、それを、言ってみるわ。
うん。言ってみる。今から沼田に。