僕から発生する磁力線は君の道しるべとなっただろうか


僕達は それぞれの手に
別の方角をさす コンパスを持っていたけど

君が僕に触れ 僕が見つめ返す その時体に流れる電流が
地球レベルの磁力さえもかき消してしまう磁力を放った
コンパスのさす方位なんか きっとどうにでもなるものなんだ

目指す場所は一致した

僕達は世界でたった一本の 僕ら独自の磁力線のうえに生き
あの頃はただ 僕達だけの ノーザンライツを目指して歩いた

同じ空気を吸って吐き つないだ手でぬくもりを共有し
僕は人生のなかで一番大切な ある事柄に気がついたんだ

ただ朝が来て 目が覚めるという幸せ
君の生きる世界に目覚めると言う幸せ
空気つながりで君と共に 世界を動かせる幸せ

目指す場所が曖昧であろうと そこまで歩く僕らの姿勢が
何より大きな意味を持ち 大きな結果を産むと言うこと


でもそれに気がついたとき 君はもういなかったけれど


君を失い途方にくれて 立ち止まりかけた僕の足を
せかさずに だけど愛にあふれ ゆっくりゆっくり動かした
君が残した愛情のすべては 君がいなくなってもなお
強い磁力線を描き 僕はその上をゆっくりと・・

歩いた なぜかしっかりと呼吸もしていた
君のいない世界の空気を 僕は一人きりで吸い込み吐いた
曖昧な何かを杖にして ただひたすらに 歩くことは
とても苦痛であったけど その苦しみが君への愛の証のような気がした


僕は一人生きた 君のいない世界で目覚め 呼吸をし そしてまた歩き
その先で見たノーザンライツは まさに そう 君自身だったんだよ