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職員室の机を拭きおえて、教室に戻ろうと階段に向かったら、ばたばたばたという足音。振り返ったら比呂がいた。
それで俺の隣にくると、歩幅を合わせて歩き出して
『さっきの話だけどさー。』といって、昼休みの時に話したことについてあれこれ言い出して、俺はそれを聞く。
別にたいした話じゃない。続けるほどの話題でもない。
ただ、学校前のサニーマートで、新しいジュースが発売になるらしく、それを買おうか買わないかとか、そんな程度の、さもない話。
階段を一段上がる。俺が上がると比呂もあがる。
『明日が発売日じゃん。その日に早速買うのって恥ずかしいじゃん。』
『うん。』
『かといって、他のやつに、先を越されても嫌じゃん。』
『んふふ。』
『それをさー、ずーーっとかんがえてたの。俺。』
『・・・ずっと?』
『そう。ずっと。』
『あはは。』
『どうすりゃいいとおもう?』
『しらねえよ。好きにすりゃいいじゃん。』
にやける俺。比呂は『決めらんねーから、きいてるんだけど。』と俺のことをキュートに睨んだ。
好きだよ。俺は、あれこれ悩む性格だけど、お前を好きな気持ちは迷わない。
階段をあがりおえて、教室に続く廊下を進む。
その頃には比呂は別の話をしてて、俺はまた、その話を黙って聞いていた。
俺はそれを、くっだらねえ話だなあ・・・と思いながら、
幸せが喉元まで満ちてきて、窒息しそうでたまらなかった。
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