クロールに行く前に、遠回りした。

高校の頃、那央と一緒に自転車で走った坂道を歩いたら
たくさんの思い出がよみがえってくる。

なんか、いつも那央、あわあわしてたなー。高校の頃とかさ。
いつも一生懸命で、まじめで。俺といる時だけ、なんかちょっと違うとこが
俺、ものすごく、好きだった。

那央はいつでも俺のこと、見ててくれた。ちゃんと、いつでも、いてくれた。
不安定な俺のそばで、いつもまっすぐな那央でいてくれた。
俺が泣けば一緒に泣いてくれて、俺が会いに行けば、飛び上がって喜んでくれる。

もう何年つきあったっけ。・・・いまだに変わんないんだもんね。



坂道の途中、ふりかえって、光が丘の町を見下ろした。
紺野さんの家がみえた。ひなと、おばちゃんはきっと家にいる。
紺野さんは・・取材いってるのかなあ。さやは、幼稚園かなあ。

まだ、俺があの家に住んでた頃に、紺野さんと俺、話し合って、
さやのランドセル、どっちが買うかじゃんけんで決めて
俺が勝ったんだよね。

だから、それは約束だから、かなえさせてもらいたい。
できれば、さやに選ばせてあげたいから・・だから、そのときだけは、
会うの許してもらいたいなあとか、贅沢なこと考えたりして・・

あーそろそろ、クロールいかないと、ハルカさんが心配しそう。

その前に、秋山さんにメールいれとくか。






<那央が3人分、弁当つくってくれたから、
<昼に間に合うようにかえりまーす。


<比呂。




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2013年紺野バースデーのプチ企画として、絵板で書いてたお話のログです。
文章だけだとあれなので、イラストを添えてみました。

ところどころ、お話かきたしてます。

お祝いしてくださった皆さん、ありがとうございました。
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