開かれたドア。比呂が立ってた。俺はすっと一歩前に出る。ついでになんか涙出る俺。
比呂はしばしの沈黙のあと、「あれ?」って不思議そうな顔をした。
「どうやってきた?」
「車。」
「うそ・・お前ヒトリで運転してきたの?」
「うん。・・・高速怖いから、全部下できた。」
「うそだろ?何時間かかった?」
「四時間ちょっと・・・。」
「まじかよーー!!!とにかく、ほら、あがんな?」
「いい。すぐ帰らないといけないから。」
「・・・・。」

「誕生日おめでとう。俺、どうしても、顔見ていいたくて。」

そのコトバを聞いて、比呂はやっぱりちょっとだけ黙った。
で、「ありがとう。」っていってくれて・・で、「鍵かしな。送る。 」っていうんだ。

どんなに自分で帰るって言っても、比呂は全然とりあおうとしない。
上着はおって、スマホや財布持って、俺の車の運転席に乗り込み、
家まで運転してくれることになった。。
「ほら、ちょっとでも寝な。明日、授業あるんだろ?」
なんて言われてうれしくて、シート倒して比呂のひじを掴んで遊んでたら、
いつの間にか眠っちゃってね。マジで申し訳なかったんだけど、
でもやっぱ嬉しい気持ちのほうが強かった。


******

なんか、俺の誕生日だからって言って、那央がきてくれた。しかも自分で運転してだよ!!
俺、それを出発前に聞いてたら、一発で胃潰瘍になってたわ!
東名のらずにきたって言うから、どうして?ってきいたのね。そしたら
「合流怖い・・高速苦手なんだもん。」とかいう。

「途中でケーキ買おうと思ったんだけど、知らない町の店にヒトリで初挑戦とかムリで・・」
とか、なんともかわいい弱音や愚痴が!!

俺、運転しながら、それ聞いてて、めちゃくちゃ幸せだなあと思ったよ。
横浜に向かう途中、ずっとヒトリで緊張しながら運転してたんだろうなあって。
ケーキ屋のケーキ買えなくて、すげえショックだったんだろうなあって。

じゃなきゃ、ドア開けてすぐに目の前でさあ、
「結局コンビニスイーツになっちゃった・・ごめん!」
なんていわないよなあ。しかも泣きながらね。

それが、今じゃ俺の隣ですげえ幸せそうなんだからさあ。
なんかもうサイコーだよね。



そのうちに、なんか寝息が聞こえてきて、チラっとみたら、那央、寝てた。
それがものすごくかわいくてさあ。運転中でさえなかったら、
写真とれたのになあ。

早く帰って、ゆっくりベッドで寝かせてあげたい。
****************
2014.5.13比呂、誕生日おめでとう!