お昼寝比呂ちゃん テストも無事終了してー、昨日今日と半日帰り。 昨日はバイトでいそがしかったけど、今日の午後は用事なくて 比呂の部屋に遊びに行った。昼飯買って、お土産買って。 おばちゃんもおじちゃんもいたから、エッチはできなかったけど でも色々話し出来て嬉かった。比呂と話すと俺は、やっぱり落ち着く。 比呂は昨日は店の倉庫の改装作業に立ち会って 売り物の移動とかを手伝ったから、かなり今日も疲れ残ってて 俺が比呂のCDを借りようと思い、棚を漁っていたら、 床にクッションを一つ置いて、そんでごろんと寝転び目を閉じた。 『寝るのー?』『寝ないよー。』 『疲れてる?』『大丈夫。』 腕にアザが何箇所かある。忙しかったんだろうなあ。 俺は比呂のそばによっていって、頬を撫でるとキスをした。 比呂が片目を開けて、そんでまた目を閉じると、ふふんと笑う。 『夏休みだねー。』 『そうだね。』 『那央、今年も塾の合宿あんの?』 『あるけどー・・いくのやめようかな。』 『・・・・。』 『比呂と遊びたいもん。』 『・・・そういや部活の合宿あるのかな。』 『・・・どうかなー・・。』 『別に一日二日じゃガマンできるよ。』 『え?』 『塾の合宿。あえなくても少しはガマンするよ。』 ・・・・・・ありがとう。 『あえなくても平気だよ』じゃなくて『少しはガマンするよ。』って、いってくれた比呂の優しさ。 好き好き好き。 俺は比呂の髪を撫でる。満たされてく気持ちを胸に溜め込んで俺は比呂のCDを手に取った。 ふと、思い出す。 『ねえ・・。比呂。』 『んー・・・?』 『こないださ・・・ネットでアルバム批評読んでたらー・・。』 『・・・。』 『俺が好きになりつつあるバンドのアルバムが、クソみたいにかかれてたの。』 『・・・・。』 『俺、それすげえ好きなんだけどー・・センスねえのかなー。僕。』 『・・・僕。』 『僕と言う名の俺。』 『あはは。』 比呂は、少しだけ目を開けて、そんでなんか考えてるみたかった。 『・・・俺は・・。』 『・・・。』 『俺はそういうの、あんま読まないけど・・別に気にしないでいいと思うよー。』 『・・・・。』 比呂が眠そうな顔で話をしだす。 『前にさー・・麦もそんな感じの話してたんだ。バンプ貶されたとかいってさー。 でも批評とか評論とかはさー、結局他人の感想じゃん?』 『・・・・。』 『沢山人間がいる中のー・・たった一人の意見なわけでさー。 そういうのを基準にモノ考えるのは、もったいないとおもうよ』 『・・・・。』 俺は比呂のほっぺをさする。 『たまたまソイツはそう思った。それだけのことじゃん。そりゃ、自分と違う感想持ってる ヤツがいたらアレ?とか思うかもしれないけど、好みはほんとに人それぞれだし、 大体音楽に正解も間違いもねえじゃん。』 『うん。』 『そんなもんがあったら世の中にバンドなんかひとつあれば十分なんだからさー。』 『・・・・。』 『求めるものがみんな違うから、次から次に新しいものが出る。そんなかでお前が 好きになれるものがあるんだったら、迷わないで追いかけた方がいいよ。』 『・・・・。』 『そもそもねー・・』 『うん。』 『にんじん一つとったって、国民全員うける印象がバラバラなんだぜー。』 『にんじんかよ!』 『お前は好きかもしれないけど、俺は嫌い。そういうもんだ。』 『えー?!!』 『那央のセンスは那央だけのもんだし、自分がいいとおもったなら、きいてりゃそれでいいじゃん。 ドコの誰かも知らないやつの言葉なんか流せ。右から左に。』 『・・だよねー。』 ふふ。難しいことを言いつつ比呂は、どんどん声がかすれてきて・・眠くって仕方ないんだろうなー。 『でも・・お前の男の趣味とかどーだかなー・・なんで俺ー?ずいぶん底辺で手を打ったよな・・。』 とかふにゃふにゃいって、目がほとんど閉じかけてる。あははー。 俺にとっては最高だったの!比呂が一番だったの!ばか! ・・・ボケたこと言ってるのはきっと、俺が考えさせちゃったから、あたまが疲れちゃったせいだ。 『比呂はさー・・自分が好きなバンド、クソみたいにいわれたことないの?』 比呂の髪をすきながら俺はきく。 『あるさー・・。エルレとかホルモンとかすっげいわれたよー。麦んち店に短期ではいってたバイトのお兄さんに。』 『・・・ふーん。』 『その人は基本的に・・日本人が英語で歌ってるのが駄目だったの。でも、俺は別にそれでもいいとおもう。 何言われても俺は好きなものは好きだし・・・、あーそうですかー・・って受け流した。』 『嫌じゃなかった?そういうの。よくケンカにならなかったね。』 比呂は、眠気がピークなようで、俺の腰に抱きついてきてかすれ切った声で答えた。 『そりゃカチンときたけどケンカなんかしねーよ。どーでもいいわけじゃないけど でも、あの人はあの人で好きな世界があったんだろうしさ・・・ そりゃ、お前が誰かに貶されれば、その場とび蹴りとか当たり前だけど 音楽は・・自由なものなんだよ。習っただろ?小学校のときに』 『しらん。』 ついに小学生の頃の記憶まで引っ張り出してきた比呂。限界かな?俺はきゅんとくる。 『ごめんね。寝るとこ邪魔した。ちょっと寝な?』 『・・・・帰らないでよ。』 『大丈夫。』 ・・3秒後には寝息が聞こえた。のび太かお前は。 比呂の寝顔をみながら、俺はそっと布団をかけてやった。 『帰らないでよ。』の一言に、愛情をいっぱいつめてくれてるんだと思う。 比呂は、俺が聞かないと自分の考えを特別話してはくれないけど・・ 俺が聞くたびに、いつもしっかりと自分の意見を言ってくれるから 普段、さまざまな場面でこいつは、自分で答えを導き出しているんだろう。 へとへとになっちゃわないのかなー。そんなに色々一生懸命で。 ほんとはいつでもヘトヘトなのに、元気なふりをしてくれてるのかなあ。 今度ゆっくり抱き合える時間が出来たら、疲れた体を全部撫でてあげたいな。 2007/07/17(火) 17:53:57 |
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