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2007/8/11 (Sat.) 23:54:43 こないだのバイトのとき、比呂は倉庫で肉体労働してて、 俺が事務所でデータ入力だったんだけど、そんときに他店から電話があって、 知ってる人だったから話し込んでしまった。 その人ってのは、年上で妻子もちなんだけど 俺の事『幸村君』って呼んでくれて、すっごいかわいがってくれてるんだ。 考え方とか大人だし、ああいう大人になりたいなーって思う。 まあ、俺の理想の大人NO1は、一応、岸先生なんだけど。 で、まあその人と、電話で談笑していたら、なんかね、刺さるのね。視線が。 振り返ったら比呂が、首からタオルかけて立っていた。 しかも俺の事を睨んでる・・・。 ・・・・・・・・・。 電話をきって、比呂に声かけようと思ったら、あからさまに無視されて、ぷいっとされた。 比呂はそのまま、事務所の冷蔵庫を空けて、麦茶をぐいっといっぱい飲むと、 さっさと倉庫にもどってしまった。・・・・うーん。これはきっと。俺は比呂の後を追って倉庫にいった。 いらだって倉庫の壁けとばしてる比呂に、そっと抱きつく。 『何?(怒)』『・・・ごめんね?』 『なにが。』『比呂がやきもち焼くようなことして。』 『そんなもんやいてない。』『ごめんね。』 『・・謝られる筋合いないし。』『比呂ちゃーん・・。』 俺は比呂をぎゅっと抱きしめながら、胸の奥から溢れる愛しさに溺れそう。 『じゃ、なんでおこってるの?』『・・・べっつに!!(怒)』 『怒ってるじゃーん・・・。』『だってお前がっ・・・。』 『お前が・・・なに? 』 『・・・・・・。』『・・・・・・。』 『あとで倉庫に顔出すよって言ったくせに・・全然こねえから。』『・・・。』 『・・・・。』『・・・そんなことで怒ってるの?』 思わず噴出す俺。三歳っ子か!紺野比呂!!! そしたらね。比呂が、ムキになったような顔で俺に言うんだよ。 『そんなことってなんだよっ。お前が来ると思ったから頑張って、急いで片付けしたのにっ。 全然こねえし、倉庫暑いし、だから根負けして俺から事務所行ったのにっ・・。』 『・・・・。』 『・・・スガさんとイチャイチャはなししやがっって。バーカバーカばーーーーーかっ』 ・・・・スガさんというのは、さっき電話で話してた他店のスタッフさんだ。 『なんでスガさんと話してるってわかった?』 『・・イチャイチャの部分は否定しないんですかー?!』 むくれてる時の比呂は、とことん細かい。 『イチャイチャしてないよ。大丈夫。』 『大丈夫って・・お前が決めんなっ!』 『は?』 『俺は全然大丈夫じゃない。ふっざけんな、もうあっちいけ。お前なんか知らない。』 『・・・・。』 俺は、なんか思わず顔がにやける。 いつもは比呂の手のひらの上で、ころころ転がされてる感じなのに、 今は自分の手中で比呂がバタバタと、俺のためにもがいている感じだ。 『ご機嫌斜めだね。』 『斜めじゃないし。まっすぐだし。』 『浮気なんかしてないよ。』 『あ・た・り・ま・え・だ・ろっ!!!浮気なんか絶対許さない。』 『信じて。俺は比呂だけ好きだから。』 『ばーか、そんなんでおこってんじゃねえし。』 『・・・』 ・・・怒ってるって認めたよ、こいつ。 『お前が俺を好きだとか、そういうのをいってんじゃねえよっ。』 『・・・。』 『お前はかわいいんだから、自覚してくれって言ってんだよ。』 『は?』 『他所の人間にまでキュートオーラ振りまいてんじゃねえよっていいたいの。ばかなお。』 『?』 俺が、話をまったく理解できず、痛恨のハニワ顔で比呂を見ていたら 思い切りムっとした顔をしてヤツはわけのわからないことを完全に言い切った。 『お前のっ!!!お前のそのっ!!無自覚なかわいさがむかつくって言うんだよ! 俺は一生懸命頑張って、この関係を保とうとしてんのにっお前はそういうの全然わかってない! そうやって愛想ふりまいてっ、俺たちの障害になるようなものの種を、 あっちゃこっちゃにばら撒いてるじゃねえか。ばかか。ばかすぎるっ!しんじらんない!』 『・・・比呂ちゃん?』 比呂はとまらない・・。 『ふっざけんなっ!ピンク村ばーか。 俺以外のヤツのまえで、きゃあきゃあいうんじゃねえよ。あほっ。』 『・・・・。』 『あとこの際だからいっとくけど、ぱんつ一枚で部室うろつくのやめろ。』 『え?』 『あと俺以外のヤツから服借りるのもやめろ。わかったなっ。』 『・・・・。』 『返事は?!』 『・・はい(はーと)』俺がヘラヘラと真っ赤な顔で返事したら、比呂がキれて、その後5分くらい、延々説教された。 説教と言うか・・・キュートなヤキモチ発言?愛されてるなー、俺・・とか思った。 いつもは寛容な比呂なのに、たまにこうやってビシっと俺を縛り付けてくれる。 優しい比呂も大好きだけど、こんなかんじの・・感情むき出しな比呂も俺は大好きなんだ。 まっすぐ俺を見て、明言を避けた形での『お前は俺のものだ宣言』を、俺に届けてくれる比呂。 俺は比呂に叱られながら、ただただ愛をかみしめる。好き。 |
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