2006/9/29 (Fri.) 17:05:21
飽きもせずに よくもまあ 毎日律儀に日は昇る
退屈顔で空を横切り 夜に追いやられていくね
夕暮れ空はどこまでも続く ずっと見てると涙が出そう
果てはきっとあるんだけど それが全然わからないんだ
俺を飲み込む 大きな空
それを飲み込む 化け物宇宙
皆そいつにはかなわない
所詮は入れ物の俺の体
心だって 不確かな塊
でも 比呂の体は 絶対的だし
比呂の心は宇宙なんて比じゃない
人間の恋愛感情ってものは 恐ろしいほどにあほらしいな
比呂も誰でもおなじじゃん
背丈や 顔 話し方や 仕草
ちょっと人とは違うだけ
でも駄目なんだ
駄目なんだよ
比呂のいる教室 比呂のいない教室
比呂のいる体育館 比呂のいない体育館
比呂と過ごす時間 比呂が別の誰かと過ごしている時間
比呂と出会えた人生 比呂と出会えなかった人生
重要なの それが俺には
比呂のいる人生
比呂と同じ時間を過ごす意味
リアルタイムで全てを共有する
昨日見たテレビのことを 話して笑う俺たち
いつ生まれてもおかしくなかった俺たちが
同じ瞬間を過ごせている事実
気が遠くなるほどの確率で 一秒一秒リンクする人生
その確率をもっとあげるために俺は ただひたすらに比呂を見つめるのだ
放課後
部活のミーティングが終わり 早めに帰れそうだった。
でも、比呂が陸上部の友達の自主練にちょっと付き合うというから
教室に一人残って 校庭をぼんやり眺めていた。
すると、校舎から比呂が走って出てきて、陸上部のやつにとび蹴りするのが見えた。
比呂が視界に入るだけで、何故だか顔がにやけるんだ。
比呂。
比呂。
俺もお前のいるこの人生が終わったら・・なにもかもが終わりであって欲しいと思うよ。
だってきっと、これ以上、最高な人生なんかない。
いじめられてたときは、どん底だった。でも俺は、あれで終わりじゃなかった。
あそこで終わりじゃなかったから・・だから 今があるってことで、
負けずに頑張り抜いた俺、逃げなかったあの頃の俺、どうもありがとう。
比呂を好きな自分、勉強を頑張る自分、
いじめられてた時の自分、全然駄目駄目なままの自分、
そんな俺を、俺は好きだ。
ストレッチしてた比呂と目が合う
比呂が両手をブンブンと俺に振る
その影がグラウンドに長く伸びていく
昨日よりも風が冷たい
お前と出会ってから 初めての秋が来るね