スキップ

・・・俺、スキップが下手でね。

でも昨日の事、思い出したら嬉しくってね、スキップしたい気分になったんだ。
ちょうど小沢と一緒にいて、小沢も昨日いいことがあったみたくて
2人でスキップしようよって話になって一緒に廊下でスキップしたの。

そこに比呂と麦と坂口がきて、『なにしてんの?』って比呂にきかれて
『うれしくってスキップ☆』っていったら、坂口が 『おれもー!』とかいって
すごく軽快にスキップして、あの人はそのまま消えていった(爆笑

放課後、ロッカーのとこでなんかしてる比呂をみつけたから

『ひーろっ☆』ってダッシュでそばに行ったら、比呂は俺の顔見てふふって笑った。
すっごいすっごい優しい顔でね。

『なにしてるの?』
『製図の道具持って帰る。テス勉したいから。』
『・・・えらいじゃん。』
『・・・・・・・・。』
俺が褒めたらふふってまた笑って、製図セット取り出して、ロッカーを閉めた。
立ち上がった比呂が歩き始めたから、俺はその隣を歩いた。
比呂は製図セットカバンにいれて、それを背負うと俺を見てボソッと話しかける。

『うれしいこと?』
『・・・・・。』
『・・・・・・・・。』
『ああ・・、スキップ。』
『・・・・・・・。』

比呂は、ふふっと笑うと俺の隣で、少しだけスキップして立ち止まる。

『お前のスキップ、なんかおもしろいよな。』
『えー?』
『基本的にお前は、ジャンプ系がおもしろいよな。』
『そうかなー。』
『・・・うれしいことあって、よかったね。』
『うん☆』

比呂にいっぱいキスされて、抱きしめられて、泣きたくなるくらい
うれしくてうれしくてうれしすぎるくらい、俺は幸せいっぱいなんだよ。

比呂の背負っている過去は消えないのに、今日も比呂は俺に優しく笑ってくれる。
記憶も全部消えてないとおもうのに、俺に優しく笑ってくれる。
心の奥底で比呂は戦ってる。日常をこなしながら戦いは続いてる。

いつかその戦いが終わったらいいなあ・・・。
そのときには俺が誰よりもでっかい声でお祝いしてあげたい。


2008/07/07(月) 22:07:28
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