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2008/8/27 (Wed.) 23:19:11 比呂が『バイト終わったら遊ぼう』っていってくれたから、 俺は早めに家を出て、塾に寄ってこないだの合宿の時の写真をもらいにいった。 俺の名前の書いてある封筒を先生が持ってきてくれて 中身を見たら浮気相手の子と俺のツーショット写真があった・・。 どうしよう。こんなの撮られてた。たまたまちょっと話してただけなのに この写真だけみてたら、なんか付き合ってるみたいでヤバイ。 荷物の奥底に写真を突っ込む。これから比呂と会うんだ。 こんなの絶対見られちゃヤバイ。 約束の時間が近づいてきて、俺は先生に挨拶して塾から出ようとした。 そのとき偶然入り口から、浮気相手のあの子がはいってきたんだ。 俺を見ていきなり泣き出す。ビックリして俺は駆け寄った。 『・・どうしたの?』ってきいたら、『・・紺野くんに聞いてないの?』って言われた。 彼女に事情を説明された俺は、比呂との待ち合わせ場所まで走った。 駅前の駐輪場で比呂が、ぼんやりと空を眺めていた。 俺は比呂の腕を掴んで建物の影にはいる。比呂は黙って俺をみる。 『・・・あの子からきいた・・。なんで言ってくれなかったの?』 『・・・・・。』 『酷いこと・・・いわれたんじゃん・・。なんで俺に何も言わないの?』 『・・・・。』 『俺、そんなに頼りない?それとも疑ってんの?』 『・・・・・。』 『なんで?!なんで黙ってたんだよ・・ねえ、なんで?!』 『・・・・・。』 『言ってくれたら俺・・あの子にちゃんとっ・・。』 すると比呂が目もあわせずにつぶやく。 『・・・あの子に・・なんだよ。』 ・・・・。 『あの子になにするんだよ。』 『・・・・。』 『できもしないこと言うんじゃねえよ。』 『・・・・。』 『・・だいたい・・・』 『・・・・・。』 『あっちこっちから一方的なことばっか言われて それを俺が・・お前にどう話せばいいんだよ。』 『・・・。』 静かに淡々とつぶやく比呂は・・俺と一切視線を合わさない。 『那央は・・・』 『・・・・。』 『那央は・・そういう風に・・色々いうけど・・俺には俺の気持ちや考えがあるよ・・。 黙ってるのには理由があるし・・・文句言われたって困る・・。』 『・・・・・。』 俺の胸の奥がズキッとした。比呂の顔つき・・。俺の話を聞く気が全然ないっていう表情だ。 『じゃあ・・。』 『・・・・。』 『黙ってた理由・・・いってよ。』 『・・・・・。』 『ねえっ・・いってよ!』 俺が声を荒げたら比呂は、俺を軽く突き飛ばしていった。 『・・・・怒鳴るなよ。』 俺はハっとした。そして思わず黙る。 『・・お前がどこまでしってんのかわかんないけど・・俺は別にあの子にいわれた事で、 気持ちがぐらつくとかはなかった。・・あの子は単純にお前が好きで・・ そういうのを俺にぶつけてきただけだし・・あの子が悪いとは思わない。 だからお前にチクる理由が無い。ただそれだけの事だよ・・。それに・・・。』 『・・・それに?』 『・・・一緒にいるときくらい・・・俺の事だけ考えてほしいから。』 『・・・・・・。』 『・・・・もう・・こういうゴタゴタ嫌なんだよ・・。』 『・・・・』 俺はなんか、自分がすごく小さな人間に思えて・・・傲慢で最低な人間に思えて涙も出ないくらいショックだった。 『ごめん・・。』 口から出たその言葉に比呂は無言で頷いてくれたけど・・ 『俺・・・もう帰るよ。なんか・・調子悪い。』 って言われてしまって、結局その場で俺たちは別れた。 悲しくて何もいえない。 |
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