恋は病だ。

眠れない。昨夜は比呂の家に泊まった。

比呂がバイト終る時間に店で待ち合わせて、24時間営業のスーパーに行って
野菜とかジュースとかいっぱい買って、比呂の自転車カゴに荷物入れて
比呂は左手で自転車押しながら、右手で俺の手を握って歩いてくれた。

ずっとね・・。ずっと比呂が元気なくて。外側の比呂は普通なんだけど、
心の中の・・・もっと内側の方で、一人で悩んでいる風に見えて・・
俺はね・・・比呂に切り捨てられるんじゃないのかっておもったんだ。直感で。

今でも俺は片想いの頃の胸の痛みや苦しみを忘れていない。
比呂は俺にとって雲の上の王子様のような気もするし・・・
愛されてるけど・・あの人に愛されるだけの魅力が俺には全然ないから

だから気づかないフリしてたんだ。ずるいから・・わざと比呂に甘えたりして・・
俺が信じて甘えていれば、比呂は絶対俺を捨てないってわかってるから
だから俺・・比呂に・・なんもいわないで黙ってた・・。

卑怯だな・・俺・・っておもった。

ずっとエッチとかしてなかったんだ。ここんとこ・・。
お互い忙しかったのもあるけど・・そういう雰囲気になれなくて・・
エッチしたら・・俺らの恋愛が終わるような気もして・・
どっちかっていうと、俺が拒否ってたような気がする。
ありもしない用事作って忙しいふりしたりして・・。


でも昨夜は・・うん。
すごい久しぶりに比呂として・・っていうか・・してもらえて・・
なんだかんだいってはぐらかして、エッチすることから逃げようとしてる俺を
押し倒した比呂の力の強さに・・なんか・・思い出したって言うか・・
俺らが付き合ってるのは現実なんだって思い出したって言うか・・
ずっとわかってたんだけど・・愛されてるってわかってんだけど・・

こんなに大好きな人に・・愛されてるっておかしいっていうか・・
そんな・・なんていうか・・そんな風に思ったりもしてたから・・

押し倒されて、キスをされて・・脱がされてくうちに頭がしびれてきて
気持ちがすごくよくなって・・比呂に肩甲骨のへんを甘噛みされながら
ゆっくりゆっくり突き上げられたら、涙が死ぬほどでてきちゃって
ベッドにうつぶせになってたから、枕に顔を押し付けて泣いた。

安心を・・したんだとおもう。

やっぱり俺は、男であることに負い目を感じてる。
俺にとっては初めての恋愛だけど・・けど比呂にとっては全然違うし・・
こんな俺と付き合うことは、比呂の負担にしかならないってわかるし
エッチだって・・比呂には相手がいくらでもいるんじゃん・・・。

なのに俺としかしない。比呂は今は俺としかしない。それは自信があんの・・。

俺としないでいると、欲求不満になってくれるし
エッチのときのあの幸せなかんじは、きっと俺にしかわかんないだろうし
俺はそれを知ってるから、浮気じゃないってわかってるんだけど・・

比呂がもし・・他の誰かを想うとしたら・・浮気じゃなくて・・もう本気なんだとおもうんだ。

そしたら俺には勝ち目がない。勝てる要素が一個もない。
想像上のどこかの女に、比呂をとられないように必死なんだ。

エッチのあとに、比呂の裸の首筋に顔を埋めて目を閉じたら
不安な気持ちが飛んでいきそうになったんだけど・・
心から比呂を・・比呂に愛されてる自分を・・認めることは自惚れなんじゃないかって
おもいついたら、悲しくなっちゃって・・
泣いたら比呂が背中擦ってくれて、俺は溜め込んでいた涙が枯れるまで
わんわん泣いて落ち着いて

感じてた不安を打ち明けたら、比呂は俺の顔を見て最後まで聞いてくれた。

話し終えた俺を抱きしめてくれて、俺はまた涙がボロボロでて
比呂は何もいわなくって・・でも比呂の腕の中で俺はとても居心地がよかったんだ。

気がついたら朝で、比呂はもういなくて・・
服を着て下におりていったら、比呂が外を見ながらぼんやり煙草を吸ってた。
俺の体には、まだ昨夜の比呂の感触が残ってて・・じんじんとアツくて
黙って近づいて背中に抱きついたら、比呂がびっくりしたあと『おはよう』っていった。

顔洗って、近所のパン屋さんにいってパン買って家に戻って食べて
歯を磨いたあと転寝した比呂の髪を擦りながら俺は考えて
一生比呂についていくって決めたのは俺なんだから、
なんか不安が自分を襲っても・・それが現実になったとこを比呂に見せられるまでは
信じて迷っちゃだめなんだっておもった。比呂のことも自分のことも。

体育祭のときに、比呂が女の人と話してるのを見てたヤツがいて
ピカ女のやつらなんだけど、すげえ噂になってたみたくて
普通の様子じゃなかったとかいうから・・俺もすごく気になってて
比呂にそれをきいたら、比呂はふふってわらって
『ああ。中学の時の先生だよ。』っていうから嫌な予感がして
『あこ先生? 』ってきいたら『違う。』っていわれて、ほっとした。

あこせんせいが・・もし現れたら・・絶対俺にはかなわないから
すごく安心した・・・。

帰ってきてから、比呂との思い出をふりかえってたら
眠るのがすごく惜しくって・・
話したことも、したキスも、体の感触も全部が大好きで
何度も何度も思い返してたら、全然眠くならないんだ。

昨夜、比呂のベッドで満ち足りた俺はぐっすりと眠ったんだけど
時々ぱっと目が開いて、そのたびに比呂の寝顔を確認して
愛しくってたまらなくって、なんでこんなに大事に思えるんだろうって・・
どうして比呂は俺にとってこんなに特別なんだろうって

そんなことをふと思えたこと、どんだけ幸せなことなんだろう・・。



まだ俺達、こんなに両思いだ。
















2008/10/26(日) 05:22:17
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