2人で築く自信。

比呂がね・・昨日突然横浜いっちゃってね。

ハルカさんが急に向こうの業者との打ち合わせに
比呂を立ち会わせるとか言って・・おじちゃんちもいないし
ちょうどいいとか言って、横浜連れてっちゃってさ・・・。

俺、塾終わってからシクシク泣いてたんだけどさ・・
電話くれてさ〜。何時ごろだっけ・・・。12時すぎだったかなあ・・。夜中の。
メール入れといたのね。何時でもいいからメルしてって。
そしたら電話をくれたんだ。どうせお前起きて待ってるだろうからって。

『さっき打ち合わせ終わってさ〜・・。』とかいう比呂の声がすっごい疲れてて
かわいそうになっちゃったよ・・。まだ高校生なのに・・かわいそう・・。

『大丈夫?』ってきいたら、『大丈夫だよ。』って言われて
『会いたいよ。』っていったら『俺も。』っていわれた。

俺がうだうだ泣きまくってたら、『帰ったら会おうね。』って慰めてくれて
『横浜とおいよー!!』ってわめいたら、比呂がちょっと考えた後に
『遠くても、声聞けるだけで俺は安心するよ。大丈夫だよ。気持ちは離れてないから。
明日には帰るし、そしたら真っ先に会いに行く。だから、俺が帰るまであんまり泣くなよ。な。』
って・・言った。・・・・・・ばか・・・。

横浜の店はだいぶ出来上がってて、昨日は店に雑魚寝したんだって。
今日、駅についてから店によって、そのあとすぐに電話してくれてさ・・
カフェ前で待ち合わせしたんだけど、会ったらもうガマンできなくて
ラブホにいって、部屋に入ったとたんに抱きしめあって
キスした。いっぱい。すごくいっぱい。俺の顔は涙でぐじゃぐじゃだった。

泣く俺を比呂がベッドに寝かせて、そのままふわふわのふとんにくるまって
比呂が沢山話をしてくれた。横浜の店の実態とか・・。
最初は泣きながらきいてたんだけど、比呂の話がおもしろくって
結局最後は笑いすぎて泣いてた、俺。
俺の心から淋しさ吹き飛ばした後に、比呂はすごく優しいエッチをしてくれた。

こないだしたばっかだけど・・何度してもすごくうれしい。
したあとお風呂に一緒に入って、どっちが長く湯船に浸かってられるか
競争をして、2人でのぼせた。あほだ。

特に比呂が重症で、風呂でたあとにベッドの上で、ずっとぐだぐだしてんの。
冷蔵庫にはいってたコーラ全部2人で飲んじゃったから
『請求怖いね〜』っていってたんだけど、そのラブホ、ちょうど開店一周年とかで
ドリンク無料だった。すげえ得した−!!って2人で笑った。

2人とも寝不足だったらしくてさ、そのあとガン寝しちゃってさ・・・
気がついたらとっくに退室時間過ぎてたんだけど
どうやら俺が寝てる間に比呂が延長してたらしくて
枕元に比呂の字でメモがあって『8時まで延長したから』ってかいてあったから
ほっとして、比呂がおきるまで俺はずっと
比呂の髪をいたずらしたり、勝手にキスしたり手をつないだりして
いっぱい甘えて幸せな気分を堪能した。
『好き』って比呂に言うたびに『うるさい・・』ってガラガラ声で怒られた。わ〜!

夕飯くいたかったんだけど、比呂が本気で疲れてるっぽかったから
手をつないで散歩して、帰ることにしたんだけどね
やっぱり距離って乗り越えられないかも・・って相談したらね、
比呂が俺の手を握ってくれてね・・・。
言うんだ。俺に。ゆっくりと時間をかけてね・・。

『・・・なんかさ・・俺ら・・あれだね・・・。すげえね。』
『・・・なにが?』
『・・遠距離になる日が近くなってきたけどさ・・・』
『うん。』
『結局こんなに単純なことで苦しんでるんだもんな。』
『・・・・え?』

きょとんとする俺を見て比呂は笑う。

『ほんっとにお前は俺が浮気するとか、そういうこと、最近全然いわなくなったね。』
『・・・あ・・。』

ほんとだ。

『俺もそういうこと、思いついたこともない。』
『・・・・。』
『浮気される不安なんかない。ただほんとに、お前に会えなくなるってことが辛い・・。』
『・・・・・。』

比呂は立ち止まる。そして俺の両手を握った。

『俺、向こうの店で雑魚寝してるとき、寝れなくって考えてたんだ。
どうすれば最短時間でお前のとこに行けるのかなって。』
『・・・・。』
『すごい一生懸命考えてさ・・でも全然わかんなくってさ・・
浮気されてもいいからそばにいたほうが幸せかもとか
そこまでおもったりしてさ・・・。』
『・・・ふふっ。』
『・・・でもほんとにさ・・。』
『・・・・・?』
『そばにいれるって、すげえ幸せなことだよ。ほんんとに。』
『・・・・・うん。』

冷たい夜風。でもあったかい。
俺の手は大好きな比呂にあたためられて、
吹く風に思わず寒そうな顔したら、比呂がギュット抱きしめてくれた。

『お前が泣いてるんじゃないかって、すごく心配した。
そばにいられれば、すぐに会えるのに、ほんとに距離ってでけえなって。』
『・・・・うん・・。』
『そんなことばっか考えてんだもん。どんだけ平和なんだろうな、俺ら。』
『ふふっ。』
『敵が“距離”だぜ?なにそれっておもわねえ?』
『んふふっ。』
『距離とか時間とか、そんなのが敵じゃん。』
『・・・うん。』
『俺ら、ほんとに仲いいよね。』
『・・・・・・・ばか・・?』


ばかとかいうなよーって。話してるうちにわかんなくなったんだよーって
比呂が屈託なく笑うんだ。俺の両手を握って嬉しそうな顔で笑うんだ。
笑った後に真顔に戻るタイミングが掴めなくって、ずっとお互いヘラへラしてた。
っていうか、嬉しすぎて、とても真顔になれないんだもん。

昨夜、体が引き裂かれるほど淋しくて悲しかった分
つないだ手のあたたかさが死ぬほど嬉しかったんだ。

比呂が横浜に行ってしまって、俺、あんなに辛くて苦しくて
枕に顔押し付けて泣いて、会いたくって会いたくってたまんなかった。
会えたら死ぬほど嬉しくて、安心して、全身で甘えられて

あの子がいないことが、全然平気じゃない。
比呂がいないことが、俺は全然平気じゃないんだ。

俺の全部が比呂を好き。
比呂のドコが好きなのか、もうよくわかんないくらい。
毎日の思い出の中で、比呂が言ってくれた全ての言葉が
俺を守ってくれているようにおもう。

何があっても大丈夫なような気がする。

今も淋しくて比呂に電話したら、寝ぼけたような声で話をしてくれた。

会えないのが辛くて、淋しくて泣けるなんて幸せなのかもしれない。
距離が敵だとかいって、恋人同士でウダウダ悩めるなんて幸せなのかもしれない。
そばにいることで安心できるのって・・・すごく幸せなことだ。

世界で一番好きな人と、好き同士でいられて、お互いが宝物だなんて
何があっても一生そばにいたいなって、心の底から思えるなんて
俺うまれてこれてよかったなあ・・。




2008/11/09(日) 22:38:12
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