2009/2/12 (Thurs.) 22:47:46

放課後・・
新しい生徒会長と話し合いがあって、そいつが部活で遅れるとかいってくるから
ちょっと暇ができちゃって・・生徒会室から外見たら、坂口がきょろきょろ走ってくのが見えたから
比呂っち、なんかしてるのかなっておもって、電話してみたんだ。コール2回ででる比呂。

『ひろ?』
『なに?』
『・・なんでヒソヒソ声?』
『ああ・・今さあ・・鬼ごっこ・・。』
『またやってんのかよ。そういえば坂口さっき生徒会室の下を通ったよ。』
『まじで?』
『比呂どこにいるの?』
『電気科のー・・どこだここ・・実習室の一角。』
『ははっ。』
『めーちゃん、どっちに走ってった?』
『多分・・駐輪場の方じゃないかな〜。坂口、鬼なの?』
『うん。』

やっぱそっかー。俺は携帯もったまま、へへって笑う。
空は青い。制服着てさ、教室の中でさ、比呂とこうやって電話で話せるのも、後少しなんだな・・さみしいな。
思わず泣きたくなる。気持ち切り替えて話をした。

『ねえー・・比呂ー・・。』
『なに?』
『今日、雨宮先生がねー、おいしいラーメン屋を教えてくれたんだよ。』
『・・へえー。どこ?』
『えっとねー。浅井が住んでた団地の近くかな。今度一緒にいってみようよ。』
『いいよ。』

いいよ。だって。断られないのって恋人特権かなあ。顔がまた笑う。

『ねえ比呂・・・。』
『・・・なに?』
『俺、今日ね。楽しみなことがあってねー。』
『なに?』
『夕飯、小沢と食いにいくんだけどね。』
『うん。』
『魚の煮付けのうまい店にいくんだよ。だから、いっぱい食べてくるね。』
『ははっ、うん、わかった。いっぱい食べてきな。』
『へへ。比呂はバイト?』
『うん。』
『何時まで?』
『ラストまで。』
『・・・体、大丈夫?』
『なにいってんだよ。大丈夫だよ。』
『・・無理しないでよ・・。まじで。』
『うん。ありがとう。』

目をギュって閉じる。
もいっかい目を開けたら、空の青色が濃くなった気がした。なんでかな。きれいだな。

『ねえー。ひろー・・・。』
『んー?』
『俺、魚の中では刺身と煮付けがすき。』
『えー?なに言い出すの。いきなりお前。』
『だって、おいしいからー。』
『・・・ははっ・・。』
『でも、刺身でも一番はやっぱマグロかなー。』
『そうなの?なんで?』
『おいしいから。』
『あー、そうかー。』
『うん。』

特に用事もなくて・・ヒマだったから・・声が聞きたくなって・・なんとなくかけた電話だったから
たいした話も出来ないで・・でもすっげえ繋がってる感じで・・
ほんとに俺ら・・ずっとずっと繋がってんだなーって感じでさ・・
喋んなくても電話切れないの。黙ったまま。比呂は時々ふふって向こうで笑っててさ。

何の話をしようかなって思ったんだけど・・思い浮かばなくて、でも焦りとかは全然なくて・・
でも単純にさ・・顔がみたいなーとおもった。ぎゅってだきしめてもらいたいなあ・・
それだけで幸せだもん。そんなこと考えてたら、思わず笑い声が口から洩れた。

『・・なに笑ってんだよー・・・。』
『えー・・?だってさー・・。』
『なんか喋れよー・・・なーおー・・・。』
『えー・・えへへ。』
『えへへってなんだよ。』
『ふふっ。』
『・・・ふふっ。』

胸の奥がジンと熱くなる。照れくさいような、そんな感じ。
恋ってすごいなー・・。ロクにしゃべりもしない電話なのに、こんなに満たされるんだもんなー・・って、
ひとりでヘラヘラしてたらさ・・いきなり比呂がいったんだ。


『・・・愛してるよ。』


俺は思わず呼吸がとまる。全身がビクリと震えて、目を見開く。

『・・・え?・・今・・の・・え?』
『・・・・。』

突然胸を撃ちぬかれて、呂律がまともに回らない。

『それ・・・え・・?俺・・・。』

そしたらね、比呂がいうんだよ。

『うん・・。・・・なんか・・俺・・・うん。』

・・・・・。

なんだか苦しいと思ったら、俺、息するのを忘れてて
いっきに空気を吸ったら、かわりに目から涙がボロボロ落ちた。


『・・・・比呂・・・。』
『・・・・・。』
『・・・・ありがとう・・・。』
『・・・・なんでだよ。』
『・・だって・・・・。』
『・・・・。』
『・・・でも・・なんで・・・。』

今まで一度もその言葉をいってくれたことなかったのに。


しばらく黙った後比呂が、ボソッと俺にいった言葉。

『・・なんか・・勝手に口が・・。
でも・・うん・・・。なんかかわいくてさ・・。で・・うっかり・・うん。ごめん。』


ごめんってなんだよ・・うっかりってなんだよ・・・

どうしよう・・・



幸せが大きすぎてまともに思い出せないっ!!
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