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2009/2/14 (Sat.) 23:36:42 朝から・・比呂と一緒にいられた。バレンタインデー・・店、すげえいそがしいのに・・ 今年は土曜日だからなおさら忙しいのに・・比呂ね・・何日も前にハルカさんに頼んで 休みとってくれてたんだって。 直前になって、やっぱ駄目とかなっても俺、文句言わないようにしようって心に決めてたのに 今日の朝、待ち合わせの場所に、俺より早く来てくれてて、俺を一瞬も不安にさせないのね。 『大丈夫・・・?バイト・・・。』俺が言うと比呂は、『おはよ。大丈夫だよ。行こう。』っていって駅の方に向かった。 どの駅に降りたい?っていうんだ。路線図見ながら比呂がさ・・・。せっかく晴れたし、どこかをプラプラしようかって・・いうんだ。 だから遠くもなく近くもない駅を選んでボタンを押した。 2人分の切符は比呂が買ってくれて『いつもありがと。』っていったら、ふふって笑って俺の先を行く。 『・・バイト・・いいの?ほんとに。』もう一度俺が聞いたら、比呂はちゃんと立ち止まってふりかえってくれて 『うん。』っていってくれた。 電車で1時間くらい。初めて降りる初めての町。駅の前には梅がきれいに咲いていて、 ちょっと見惚れてから2人で歩き出す。小さな商店街みたいなとこがあって、 そこをゆっくり歩いていくと、住宅が3〜4軒あって、あとは畑と森が広がってる。 『・・ごめんね。』『・・・なにが。』 『だって俺・・何もないとこ引き当てちゃった。』『・・・なんでだよ。全然いいじゃん。』 『・・・だけど・・・。』『・・那央とこんなにゆっくり会えるの、久しぶりだね。』 『・・・・うん。』『・・いいとこだなー。ここらへん。』 心がくすぐったい。森はちゃんと整備されてて、 遊歩道をみつけたから歩いていったら、新しい感じのカフェが数軒あった。 比呂が携帯を取り出して時間を見る。 『11時・・ちょい過ぎだ。那央、腹へった?』『うん。』 『・・飯食おうか。』『うんっ!』 コーヒーのいい匂いがする店に入る。店の名前は『水玉』だって。 地場野菜と魚の和風プレートというのがおいしそうだったから、2人してそれを頼んだ。 店裏の畑から野菜を摘んでくるから、少し時間がかかるといわれて『大丈夫です』って比呂がこたえた。 ・・今日の俺らには沢山時間あるもんね。 店員さんが調理場のほうに入っていったから 俺はバッグをあさって、比呂にチョコと手紙を渡した。あとね・・マフラー・・。 何本やれば気が済むんだよっていわれるかもしれないんだけど・・一生懸命編んでみたんだ。 『・・・ありがとう・・・。』って比呂が笑ってくれた。 『・・・読んでもいい?』静かな声で、比呂が手紙を指差していう。 だまってこくんと頷くと、比呂が丁寧に封筒を開ける。 黙って文字を目で追う比呂の表情がね・・読みすすめていくにつれて変わっていくんだ。 すごくすごく・・なんか・・うん。比呂の顔を見てたら・・なんか泣けてきちゃって俺・・。 手紙には・・こう書いた。 <比呂へ。 こないだ・・どうもありがとう。俺、夢かな?って今でも思うんだけど・・ でもあんなに・・はっきりと・・聞こえたから、夢じゃなくて・・現実なんだなって思うから ずっと覚えていたいと思うよ。 俺は比呂と付き合い始めてから、比呂のことを知りたくて、 好きなマンガとか好きな曲とか、こっそり調べて真似して集めた。 時間があると比呂のことばかり考えて、『なんでにんじんが食べられないのかな』とか そういう事を考えて幸せな気分になった。それが愛してるってことなのかなっておもった。 俺は、この気持ちが・・比呂への気持ちがすごく大きいものだから 愛って言葉じゃ足りないなっておもっていたんだけど・・ 比呂にその言葉をいわれたとき・・比呂のいうその言葉には 俺が漠然と思っていた言葉の意味・・それ以上の・・ 無限の気持ちがこめられてるって実感した。 どうでもいい他人のいう『愛してる。』なんてただの単語に過ぎないけど・・ 比呂にいわれたその言葉はとても特別でとてもあたたかくて、とても素晴らしくて絶対忘れない。 一緒にずっと歩いてきて・・色々なことがあって 迷惑ばっかかけてきた俺のそばにいてくれた比呂の姿や行動を、ずっと俺、みてきたから・・ 俺、ずっと比呂を見てきたから・・だからその言葉が特別に心の中に響いたんだと思う。 いってもらえて嬉しかった。俺、すごくうれしかった。 言葉ってすごいね。ちゃんと気持ちがこもるんだね。 時間をかけてゆっくりゆっくり比呂がその言葉に意味を吹き込んでくれた。 俺・・今まで、何度も比呂に、愛してるっていってきて・・ ちゃんと気持ちをこめてきたつもりだけど・・ その言葉自体に憧れすぎて、言葉自体を意識しすぎて うまく気持ちをこめられていなかったような気がするよ。 家で何度か練習したけど、やっぱり上手に気持ちをこめることができない。 だけど・・だけどね・・比呂の名前を呼ぶとき、俺は気持ちを全部そこにこめられんの。 『ひ』と『ろ』の二文字だけなのに、名前を呼ぶだけで、涙が出るよ。 だって比呂の名前だもんね。俺の一番大切な人の名前。 俺は生まれてから今までの間でたった一人の人の名前を、こんなに何度も呼んだことないと思う。 ずっと俺をそばにおいていてほしいよ。俺は自分の命に限りがあるなら 一度でも多く比呂の名前を呼びたいよ。その全部に返事をしてね。 比呂だいすき。 那央 手紙を読み終えた比呂が、俺を見て、俺は泣いてたんだけど、 そんな俺を見て柔らかく笑うと『・・ありがとう。』っていってくれた。 俺・・ひっくひっくいいながら『比呂』っていったんだ。 そしたら比呂は、『なに?』っていうんだ。何度呼んでも返事してくれるんだ。 それがすごく嬉しくて俺・・テーブル突っ伏してないちゃって そしたら比呂が、頭撫でてくれて『なーおー・・』って息だけの声でおれの名前を呼ぶの。 俺の名前を・・大好きな比呂が呼ぶ。大好きな声で呼んでくれるんだよ。 |
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