晴天

今日、散歩をした。自転車じゃなくて、歩きで町中をふらふらと。うん。
生まれた土地、育った土地。もうすぐ離れる。うそみたいだ。
とりあえず4年。もしかしたらその後もずっと、
俺はここに住むことはないかもしれない。なんとも言えない気分になった。

俺の足は、通いなれた比呂の家に向かう。
時間をかけてゆっくり歩くと、あちこちに思い出が散りばめられている。
それくらい沢山の時間を俺と比呂は過ごしてきた。

平坦じゃなかった俺らの道のり。
俺も比呂も、この恋愛を終わらせてしまうような問題をおこした。
俺は、自分の身勝手で。比呂は、自分の意思とは関係なく。

『すき』って言う気持ちに迷いはなくても
君の隣にいる自分自身に自信が無くなってしまう時があって
俺、何度も逃げ出そうとした。そんな俺を比呂が追いかけてくれたから・・

俺の束縛欲を、愛だと言って全部受け止めてくれる比呂がいて
俺の自虐スパイラルを 『しょうがねーなー。』と笑って支えてくれる比呂がいて
『ずっと一緒にいてね』っていえば『いいよ。』といってくれる比呂がいて

比呂がいるから俺のこの恋は、今の恋愛の延長線上にあり
そして、そこで確実に生きている。
俺たちは心の中に納まりきれない恋心を、見えないハートの風船に
吹き込んで空に飛ばしてきた。

だからかな。俺、寂しいとき、よく空を見るよ。
そうすると青空に思い出が次々浮かんでくるんだ。

これから先、比呂と離れて数年過ごさないといけない。
休みのたびに会いたいけれど、なかなかそれはかなわない距離だ。
俺がわがままで振り回して、自分の住む町まで比呂を引き寄せようとしたら
今度こそほんとに負担がかかる。俺も色々と変わらないといけない。

そのシフトチェンジがうまくいくのか、不安で仕方がないんだけど
もう高校も卒業した。節目に一気に加速して飛びたい。

ボケながら歩いていたら、比呂の家の前に着いた。
庭でかわいい笑い声が聞こえるから、覗き込んだら比呂とさやくんがいた。
さやくんは泥だらけになって遊んでて、比呂はデニムを膝まで捲り上げて
花を植えていた。沢山のきれいな花。

そんで俺に気がついたら笑ってくれたんだ。『那央!なにしてんのお前。』って。

『え?散歩だよ!ねえ、手伝ってもいい?!!』
俺が笑うと比呂が 『やったー。助手確保ー。』っていって俺を庭に入れてくれた
比呂の家。比呂の家の庭。
そしたらさ、さやくんが、俺んとこまでよちよち伝い歩きしてきたんだよ。
だっこしたら、笑ってくれて『にい・・にい・・』っていってくれたんだ。

まるでハッピーエンドのようだった。映画だったらきっとここでエンドロール。
だけど俺らはこれからも続く。続くよ、もっともっと幸せを積み上げて。

比呂と一緒に近所のスーパー行って、肉とか野菜とか魚を買って、
おばちゃんと比呂とさや君と俺の4人で、比呂んちの庭でバーベキューした。

すっごいおいしかったなー・・・。



2009/03/17(火) 17:03:44
NEXT