結婚 ただいまっ。 小沢とラーメン屋いって、密談してきたー。すっげー楽しかったー。 麦のプレゼントについては、いくつか候補を決めたから あとは、買い物に行った時に、見た目とかをみて決める。 ラーメン屋に行ったんだけど、ラーメンだと会話にならないから2人で定食を頼んだ。 俺、チンジャオロースー、小沢は回鍋肉。 『餃子も頼む?』ってきいてみたら『このあと、彼女に会うから・・・。』だとさ。 『な〜に?ちゅうでもするの?』っていったら 『・・おやすみのちゅうくらいーしてもいいっしょ!』 って、真顔で言われちゃったよ。どわーー! 注文して、飯がくる前に麦のプレゼント候補決まったから 後は2人でニヤニヤしながら、恋愛トークに花を咲かせた。 『俺、卒業したら彼女と結婚しようと思ってて。』 『えーー?!うっそ!』 『まあ、来年ちゃんと就職できて、研修期間とか終わったらだけど。』 『うそ!まじで?!プロポーズしたの?』 『ううん。でも・・来年のクリスマスに、言おうかなって思ってる。』 『えー!まだ一年先なのー?!!』 俺はほっぺたにピーマンくっつけたアホ面で小沢にそういった。 小沢が笑う。 『君の彼氏に相談したの。今年のクリスマスにプロポーズしようかなって。』 『うん。』 『そしたらきっぱり言われた。今のお前がそれを言って、果たして説得力あるか?って。』 『・・・・ごめんね・・・。』 『なにが?』 『比呂。たまにキツイこというから。』 俺が謝ったら、小沢が全力で首を横に振る。 『ばかばか、ちがうって。比呂は俺を思って言ってくれたんだしっ。』 『だからって、言い方があるじゃん。』 『や、だから今の俺のアレは、ほら、長い会話を要約して言っただけであってさ もっと長い時間かけて、悩んでくれたの、俺と一緒に。』 『そうなの・・?』 『うん・・・。悩み相談された比呂もきつかったと思う。でも、 あいつはちゃんと考えて、そんで俺に言ってくれたんだ。』 『・・・・。』 箸を置く小沢。俺も箸を置く。小沢は俺の目を見て、そんで真面目な顔で話し始めた。 『俺・・親がああいう感じだったから、結婚ってものに全然重みをもてないのねって。 子供できて、誰が親で・・責任とれとかそういうかんじの・・ そういうのをみてきたから、俺・・あんま結婚に憧れてねえの・・つか、憧れてなかったのって・・・。 中学の時に・・・先生と付き合ってて、その人と結婚しようとかいってたけど・・ すごく真剣に俺は言っていたのに・・最後まで信じてもらえなかったって・・。』 『・・・・・。』 『知ってるんだよね、あこせんせいのこと。』 『ああ・・うん。比呂から聞いた。』 『よかった。・・でさあ・・。』 『うん。』 『あの頃は・・・多分比呂が中学生の頃はって意味なんだと思うけど。』 『うん。』 『結婚の約束してたのに、俺自身・・・だから比呂が?引っ越すってだけで 離れていった先生の事を、心の中で責めてたんだって・・。』 『・・・・。』 『何で信じてくれないんだろうって・・なんでついてきてくれないんだろうって。』 『・・・・・・うん。』 『だけど、今あの頃の自分を振り返ったら、彼女を不安にさせるだけで、何一つ頼りがいがなかったって。』 『・・・・・。』 小沢がうつむく。 『今もそういうのは変わらないけど、でも俺たちは年相応に、頑張らなきゃいけないと思うって・・そういうんだ。』 『・・・・・。』 『比呂にとってはその一番が生活力で、ちゃんと働いて、金を稼いで、好きな人を養える力がほしいって。 家族が欲しいって。自分が引っ張って守っていく家族がほしいって。』 『・・・・。』 『今の自分には、大事な人がいるけど・・でもきっと結婚とかはできないからって・・・ それってユッキーの事じゃん。』 『・・・うん。』 『結婚できない相手の俺に、それでもついてきてほしいと思うって。 でも思うしか出来ない自分に説得力があるのかって考えたら やっぱり自分で頑張れることをしっかりやって、せめて自分に自信持てるように ・・相手が弱気になったときに・・ちゃんと俺についてこいっていえるように 頑張りたいって。理想ばっかいうんじゃなくって、ちゃんと頑張って、逃げないで、 で、そういう自分を見て大好きな人が、安心して自分についてきてくれたら サイコーって・・・そういってたよ。』 『・・・・・・・・。』 『泣くなよ?俺は比呂じゃないんだから。』 『・・・う・・ん。』 『・・・・・・・ピンクちゃん・・・。』 泣かずにいれるか、あほちびっこり。 比呂は俺の前では、いつものんきで、深い話なんか滅多にしない。 いつも嬉しい話をおれのいないとこで、誰かにしてるんだもんなー・・・。 俺が涙目で小沢を見上げたら、小沢、ボロ泣きで、まじびびった。 『おざ・・・・わ?』 俺が恐る恐るいうと、小沢が泣き笑いで俺に言った。 『比呂にそういわれて、その後彼女に電話したらさあ・・ すっごくすっごく愛しくってさあ・・・ああ・・俺、先を急ぎすぎてたって。』 『・・・・・。』 『前の旦那に負けたくなくって、早く籍入れて俺のものにしたかった。でも・・違うんだよな。結婚って。』 『・・・・・。』 『ばかだよなー・・・。大切なことなのに。』 俺は・・俺は・・・目の前の小沢も・・・話の中で俺を思ってくれてた比呂に対しても 言ってあげたい言葉がある。『自分だけ無理するなよ。』ってこと。 俺だって、小沢の彼女だって、頑張りたいと思ってるんだよって。 俺の周りの男の子達は、恋人に対してすごく真面目でなんだろう・・・まじでさ・・ 恋人は俺が守るっていう・・そういう感じなんだよな。 守られる俺はいつも無傷で、比呂は今まで傷だらけになってきた。 喧嘩にしろ、なんにしろ。俺は比呂に守られて幸せにやってこれた。 この1年は、あっという間だったけど、でもその間に2人で過ごしてきた 色々な出来事や、越えてきた壁は、今、俺たちの愛情に大きな意味を持たせている。 心の底から頼れるもん。俺。今なら比呂に。 『・・・1年ってあっという間だから、頑張ってね。おざわっち。』 『・・・そうだよねー。でもさー・・』 『ん?』 『あたりまえみたく来年も彼女といれるって思えることが、すげえとおもう。何気に。』 『・・・・・うん。』 ムードもクソもないラーメン屋で、とんでもなくロマンチックな話をして 男2人でときめいて、店を出たらすごく寒くって 小沢は彼女に電話して、俺は彼氏に電話した。 電話は留守電。バイト中だもんな。 だから、後で電話して!って、思い切り元気な声でメッセージを吹き込んだんだ。 比呂好き。世界一好き。つか宇宙1好き。 早く話がしたいなー。 2007/12/18(火) 21:34:25 |
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