小沢と買い物

今日は小沢と買い物に行った。
麦のプレゼントと・・互いの恋人へのクリスマスプレゼント。

うーあー・・・クリスマスかよ

俺らにも来るかな・・クリスマス。
前にちょこっと、クリスマスとか楽しみ的なことを比呂と話したんだけど・・・
でもさ、いざその日が近づくと・・逆に怖いよ。なんか・・・。
そんな日に俺が、比呂の隣にいていいの?みたいなかんじで。

麦にはー、おしゃれ雑貨屋で色々買ってまとめてラッピングしてもらった。
で、店を変えて・・小沢がジュエリー専門店とかに行くの。
えー・・なに?何買うのかなーっておもったら、ペアのりんぐだった。
シルバーなんだけど、女の人のほうにはダイヤがついてんだよ。
すっごくない?超きれいなんだよ。・・いいなー・・こういうの憧れる。

時期的にペアリングスペースがすげえ広くってさ、
ちょっと見てたら悲しくなった。
・・・俺が女だったら、比呂と一緒にこういうのつけても
似合ったんだろうになーって。

でもさ、気を取り直す。落ち込んでばっかいられないもんね。
だって初めてのクリスマスだもん。
比呂にとってはクリスマスなんか、全然普通の日と変わらないかもしれないけど
俺にとってはやっぱ大事な行事の一つなんだよね。
ずっとスキだったんだもん、比呂が。付き合ったら、ますます大好きになった。

結局俺は、またブレスをあげることにした。
比呂の手が大好きだから、一番近いトコに俺があげたものが
ジャラジャラついていたら嬉しいし。
時計・・・?も考えたけど、2人でいるときに時間ばっか気になるのもイヤだし・・・
だから今度は前回よりもグレードアップしてシルバーのごつめのブレスにしたよ。

ラッピングを待つ間・・自分の指を見て溜息をつく。
友達よりは細い指だけど、女みたいに綺麗じゃないし
柔らかくもナイし、節々がなめらかでもない。
やっぱどう見ても、男の手・・。

女になりたいわけじゃないけど、・・・固定観念が拭い去れない。
現にちゃんと付き合えてる俺らなのに・・・
比呂の隣に俺がいることの違和感を、俺自身が一番強く感じている。

『お待たせしました。 』
店員さんから手渡されたそれは、すっごくクリスマスって感じで
・・・うん。・・つまんないことを考えるのはよそうって、そう思った。

小沢のラッピングも終わって、店を出る。
外はすっかり暗くなっていた。

『比呂と遊ぶの?』ってきかれたから、ううんって首を振る。
『今日は比呂は5時までバイトだったし・・・だから約束しなかったんだ。』
今日もバイトだった比呂。仕事をちゃんと頑張れてすごいなあって思う。
小沢は俺ににこっと笑う。
『俺も、彼女が忘年会で遊べないの。一緒に飯食わない?』
って言ってくれたから、いこういこうって、ことになった。

携帯見たら、もう6時だった。
どこに行こうか考えて、昨日比呂といったカフェ近くにある
パン屋の二階の食堂に行くことにした。
食堂って言っても、殆んどカフェで、パン屋さんの直営だから
うっまいのね。サンドイッチとかも。
小沢のお気に入りスポットなんだー。

歩きながら比呂にメールをいれることにした。

<バイトお疲れさまー。
<今からちびっこりとご飯食べに行くんだよ。
<比呂、明日暇?
<会いたい。遊んで?
<夜また電話するね。
<今度はちゃんとするからね。
<大好きだよ。
<ゆっき

うっわ。キッモイほどラブリーな文面になってしまった〜。
まあ、いつもの事かー。送信ボタンをピッと押す。
そんで、昨日のカフェの前を通りすぎようとしたとき・・
ふとそっちのほうを見ると、窓側の席に比呂が座っているのが見えた。

テーブルの上は見えないから、料理があるのかわからないけど
でも比呂だった・・。頬杖ついて、本を読んでるみたい。
で、なんかケツポケットをガサガサやるような仕草をしたら、
携帯をね・・出したんだ。・・・うわ・・・。

いきなり立ち止まる俺の視線をみて、小沢が『比呂じゃん。』っていった。
店からちょっと離れた場所を歩いてたから、じっとみてても比呂は気づかない。

携帯をぱかっと開いて、ボタンを数回押すと比呂は、
多分俺のメールを読んでるんだろう。

時々、ふふって笑うんだ。

・・・あんな顔で、俺のメール見てくれてるんだ・・いつも・・・・。
俺、送信ボタンおしてそのまんまの自分の携帯を握り締める。

比呂は、またボタンを押し始めて、もしかして・・レス打ってくれてんのかもしれない・・。

小沢が黙って俺を見てる。そしたら俺のメル着が鳴った。
それと同時に、比呂が携帯をケツポケットにしまうような仕草をして
また本を読み始める・・・。
俺は自分の携帯の受信トレイをあけた。

<いいなー。飯。
<俺も今から。
<明日は暇だけど、昼間はバイト。
<だから3時過ぎからなら会える。
<電話してくれんの?待ってる。
<つか、やっぱ俺からするよ。
<今度こそ電源切るなよ!絶対!
<小沢によろしくー。
<俺もお前が好き。
<それじゃ、あとで。

・・・・。
比呂をじっとみる。頬杖ついて本を読んでる比呂。
・・・・俺がそばにいないときの比呂。
一人でも普通にああやって、飯を頼んで食える比呂がすごいなあとおもう。

『・・一緒にくう?比呂と。』
小沢に言われた。俺はまた首を横に振る。
『いい。後で電話するし。行こう。腹減った。』

俺は小沢と一緒に歩き出す。
マフラーに顔を埋めながら俺は、泣きたいくらいなんか、幸せだった。

2007/12/21(金) 22:43:33
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