目を閉じる。

今日は午前中部活で、午後はバイトだった。
俺、また電話応対でミスっちゃって、比呂がフォローをしてくれた。

8時にあがって2人で夕飯食いにいったんだけど俺、そのときすげえ落ちこんでて
そしたら比呂が『気にすんな。お前は悪かないよ。』って、
いつもの強気なあの口調で、俺を励ましてくれた。

なんか・・ほっとして・・・。

昨日、比呂からいろいろな話を打ち明けてもらったんだけど・・・
今朝起きたらさー・・なんか重圧と言うか・・・
俺・・比呂をささえられるんだろーか・・・みたいな気分になっちゃって。

部活の時、遅めに体育館にいったんだ。
そしたら比呂はもう来てて、麦と2人でシュート練習しててさ。
2人ともかっこいいから見とれてたんだけど・・・

麦みたいに、自分の好きなもので一番になって
自分の意見もしっかり言えて、人の話もしっかりきける・・
そういうキャラだったら俺も、比呂の力になれるんだろうけど・・・
俺じゃ駄目かも・・・無理かも・・って・・落ち込んだの。内緒でね。


・・いつもどおりの比呂って気がしたから、俺、比呂に話したの。
麦の話とか・・色々。そしたら比呂が、ふふって笑うのね。飯食いながら。

『お前も一番じゃーん。』
『なにが?』
『勉強が。』
『そんなっ・・勉強で一番になったって、かっこよくないよ。』
『・・・。』

比呂がまじまじと俺を見た。そんでいうの。

『かっこいいよ。学年1位。』
『・・・ガリ勉なだけだもん・・・。』
『ガリ勉最高じゃん。普通なら大抵逃げたい分野よ?勉強。
そこにまっすぐ立ち向かって、楽なほうに流されないで
学んでいけるってすげえよ。』
『・・・・。 』

言われる俺は、真っ赤だ。

『それに・・・。』
『・・・。』
『お前こそ、自分の意見ははっきり言うじゃん。』
『え?』
『バカだの死ねだの好きだのなんだの。』
『・・・・・・』
『フェラしてだの、抱っこしてだの、ちゅーしてだの・・』
『わああああああああああああ』


そんなことまでいわんでいい


『・・・・なんだよ・・・。』
『なんだよ・・じゃねーよ!そんなのあれじゃん。』
『あれ?』
『自分の意見っていえば自分の意見だけど、ベクトルが全部自分向きじゃん。』
『・・・。』
『相手を思いやって、意見を述べられる人になれたらって思うの。』

少しだけ沈黙。また比呂が笑った。

『お前がお前のために言ってる言葉が、だっこしてだのちゅーしてだのなの?』
『そうだよ・・・。そんな・・・なんどもいわないで・・・。』
『・・・そういうのって、俺に気を使っていってるわけじゃないんだよな?』
『あたりまえじゃん・・・ばか・・。』

・・・・


『お前のそういう言葉が俺を支えてくれてるんだよ。』
『・・・・え?』

照れた真っ赤な俺の耳。恥ずかしくて泣きそうな顔で
比呂をみると、比呂がわらってくれた。

『好きな人が、俺と触れ合うことを望んでくれる。・・・すげえうれしいよ。』
『・・・・・。』
『思いやりとか関係なく、シンプルに本能でそういってくれてるなんて
尚更サイコーだとおもわねえ?』
『・・・・・。』
『俺も那央とヤりたい。ちゅーしまくりたいし、なんだってしてやりたい。』
『・・・・・。』
『思いやってなんかいねえよ?全部俺の、勝手な願望。』
『・・・・・・。』
『俺は辛い時や悲しい時に、真っ先に浮かぶ顔がある。』
『・・・・・。』


『お前の顔だよ。』




・・・・比呂の勝手な願望が、全部俺と関わってる。


嬉しくて・・・すごくうれしくて・・・俺は思わず目を閉じた。



比呂。俺、嬉しい時も真っ先に浮かんだよ。


お前の顔が。




2008/02/03(日) 00:00:32
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