甘えん坊さんかな?

比呂から電話があった。ふふ。すっごく元気がなくって。

『どうしたの?』ってきいたら、『別に。』って。・・・そういうんだ。ふふ。
で、俺が黙ってたらー・・『ハルカさんにぶん殴られた。』とかいう。
『怒られたの?』ってきくと、『ううん。ケンカごっこ。』だって。なんだそれ。

そしたらまた黙っちゃうから『比呂ちゃーん。』と俺はいう。
ベッドに寝転んでね。さっきプリントアウトした小沢の隠し撮り比呂をみつめながら。
比呂は、ふーって溜息ついて、かっすれた声で話し出す。

『にっき・・。書いたよ。』『ほんと?!読むの楽しみ☆』
『・・・・ふ〜ん・・・・。』『どうしたの?』
『ううん。なんでもない。そんなにうれしいのかなって。』『・・・・・。』

かわいいなあ・・。比呂。

『そりゃうれしいよー。比呂の声聞けてるんだから。』『なにそれ。』
『比呂、外にいるの?』『うん。でももう帰るけど。』
『どこかに寄ってたの?』『ああ・・うん。オギマ』
『・・・・・おぎ・・。』『おぎやんとこのサニマ』
『ははっ。そっかそっか。迷惑かけなかったかい?』『・・お前・・俺にどういうイメージ・・・』

ふふ。イメージっていうか・・前例をしってるってだけじゃん。ね!

比呂はね、そのあと少しだけ、今日の話をした。
教室で掃除してたら、卒業した先輩の落書きを発見したとか。
比呂は毎日楽しそうだね。ささやかな幸せを拾い集める天才なのかな。

っていうか・・俺がそういうものを今まで、たくさん見過ごして生きてきただけなんだろう。
現実から目を背ける毎日で、沢山のものを素通りしてきてしまったような気がする。

でも今は、自分のこの人生を誇りに思って生きているから
ちゃんと見つける。心に刻み込む。


『日記楽しみにしてるね。』っていうと、『・・うん。』って元気なく返事する比呂。
『どうしたの?』ってきくと、『ちゃんと丁寧にかいたつもりなんだけど・・・』だって。

・・・・・比呂ちゃん・・。

ちょっとだけそのあとも話をして、電話を切ると、なんか涙が出た。
俺がちょっとだけ強くなれたと思ったら、比呂が弱気な感じになって
俺、ほんとに今まで比呂に無理ばっかさせてたんだなって・・・

反省したけど、でも・・

比呂に頼ってもらえるようになった自分っていうか
心の支えとしてあてにしてもらえる今がすげえ俺の人生の誇り。

元が駄目人間だから、俺もじきに挫けるかもしれないけどー・・
お互い無理しないで寄り添えるような、そんな最高のバランスポイントを探して
頑張っていこうと思ったよ。

2人で。


比呂と俺との2人で。


2008/04/09(水) 22:48:36
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