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充実してるなー・・。俺。

今日は、塾があって、比呂と遊ぶ約束できなかった。
比呂はバイト休みなのに・・人生うまくいかねーなーとか
思って交換日記ぱらぱらみてたら、

なんだか比呂に死ぬほど会いたくなって・・塾終わってからアイスを買って、
比呂んちにいったの。夜の8時過ぎなのに。
そしたらね、おばちゃんがでてきてさ『比呂、お風呂に入ってるからあがって?』って
いうのね。さやくんを風呂に入れてるとか言って。

俺悩んだんだけど、お言葉に甘えた。

すごく悩んだんだけど、そうすることで、俺なりの一歩を踏み出せる気がしたから。
居間にはおじちゃんもいて、頭下げたら上機嫌で手を振ってきた。

『どうしたんですか?』って俺は笑った。するとおじちゃんが、にこにことして
『まあすわりなよ。幸村君。』っていう。酔ってんだってわかった。
すっごい幸せそうなよっぱらいさん。俺はいわれるがままに座った。
おばちゃんが、コーヒーを淹れてくれて、俺はそれを飲みながら
おじちゃんの、比呂への溺愛ぶりがいっぱいつまった話をきいていた。

『比呂がねえ〜・・買ってくれた酒がうまくてね〜・・
父の日だからって言ってね〜・・あの子は本当にいい子でね〜』
そういいながら、おじちゃんは笑う。
半分寝てるような顔で、とにかく笑う。とてもうれしそうに。

そうこうしてたら、廊下のおくから、
おかーさんと一緒系なうたを口ずさむ声が聞こえてきて
『ははさまー。さや出たよー。』と、比呂が登場。

俺と目があって、一瞬ハニワになった比呂は、さやくんとお揃いの
半袖パーカーをきていた。

『親子用なんだけどー、かわいくってさー・・
だからこないだ買ったんだ。たまに一緒に着てる。』
比呂に送ってもらう帰りみち。
街灯に照らされても薄暗い道。比呂の言葉で、ぽっと明るくなる。

比呂たちが風呂からでてきたあと、俺の買っていったアイスを
みんなで食べて、さや君の寝返りをみた。
比呂は自分の携帯電話で、動画をとりまくってたんだよ。
とるたびに俺に見せてくるの。そんで、メチャうれしそうな顔してね。

別れ際、キスして抱きしめてくれた比呂は、俺の頭を
愛しそうに撫でるの。俺は気持ちよくて、
比呂の肩に顔を埋めながら、目を閉じた。
俺だってこんなに、愛しいなあ・・比呂のことが。

家に帰って、ベッドに寝転んだ。
耳の奥に、おじちゃんの笑い声が、まだ残ってた。
おばちゃんも、沢山笑ってて、さや君も、いっぱい笑った。
そして、比呂の隣で俺も沢山笑った。

・・・なんだか俺も・・比呂の家族の中の一員になったような気分になった。
そんなのんきなことを、考えてしあわせになる。

踏み出した一歩は、とても大きかった気がする。


2008/06/16(月) 22:54:06
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