ヤーっぱ駄目だったーーー!!!はい。全然駄目村。0点。最悪。・・なーんてね。 比呂、バイト1時間だけとかいうから、約束したのね。 そしたら、10時あがりなんだよ。おせえ。 なんだか用事があってそのあと1時間だけバイトはいったらしいんだけど。 で、俺塾の自習室で勉強して待って10時に店にいったらさ 比呂がスタッフルームから降りてくるところだった。俺と目があって、ふふって笑う。 ・・・もう、すっかりしっかりしちゃってんの。 きっと俺がぐずぐず泣いたせいなんだよ。 『比呂・・・なんで元気なくないの?』って俺がいうと 比呂は、は?って顔をして『なにそれ。』っていう。 『もっと落ち込んでもいいんだぞ。ほら、俺が支えてあげるから。』 両手広げて比呂に抱きついたら、比呂はふふって笑ったんだよ。 『那央、時間まだいいのか。』 『・・うん。いいよ。』 『俺飯まだなんだ。コンビニ寄るけど一緒に行くか?』 『行く!』 ちゃんと歩いてきたんだよ。だから比呂の自転車の後ろに乗る。 あれ?結局これじゃいつものパターンじゃん。 駄目村那央ー!!! 比呂はいつも行く最寄コンビニを通り過ぎた。あれ? 海沿いの道に出て、どんどん進む。しまいには立ちこぎ。どしたのさー。 『どこいくのー!!』ってきいたら『コンビニだー。』って答える比呂。 『どこのコンビニー?!』ってきいたら『いったことないトコ探すー。』って。 景色がきれいな道を選んで走ってくれる優しさには気づいてる。 俺がぼんやり幸せにひたってると、『那央。ちゃんとつかまれ。』って 小さな声で注意してくれるんだ。 初めていったコンビニは、サニマのちょっとお洒落バージョンみたいな感じで 女子大生とかOLっぽい客が結構いて、俺等は浮いたけど 比呂は沢山いる女に目もくれず、俺だけを見て笑ってくれた。 買い物かごにポンポン食い物入れていく比呂。 飲み物だってたくさん。この金銭感覚、しょうがないな〜! でもきっと比呂が食べるのは、そのなかの冷やし中華だけ。 飲み物だっていっぱい入ってるけど、きっとファンタオレンジだけなんだ。 俺を乗せて帰る道のり。 比呂は友達の話で俺を笑わせた。 俺は、すっごく楽しくって、いつもの100倍笑った気がする。 そしてついに俺の家に到着。 『降りろよ。』『降りたくない』『ばか。不審だろ』『いいじゃん不審でも』『よかないわ!』 そんなやり取りを少しして、おれはしぶしぶ比呂の自転車から嫌そうに降りる。 比呂はコンビニ袋から冷やし中華とファンタをとりだすと 残りを袋ごと全部、俺にすっと差し出した。 『はい。差し入れ。勉強頑張れよ。』 自分ち玄関で比呂にばいばいして、部屋への階段を一歩ずつあがるたびに 体が揺れて涙がぽたぽた落ちた。 でも、それはふがいない自分が悔しくて流した涙じゃない。 ・・比呂が・・・無理してかもしれないけど、それでも俺に 元気な姿をみせてくれたのがうれしかったからなんだよ。 好きな人が元気な姿は、何よりも心を打つ。ああよかった。笑顔だ。 比呂が笑ってくれて本当によかった。結局俺は比呂の強さに救われた。 だけど卑屈になっちゃ駄目なんだぜ。 出来の悪い自分をせめても意味ないぜ。 つまり、俺はそれぐらい特別なんだよ。 比呂が俺のために元気になろうとしてくれるくらい特別なんだ。 だから俺はそれを誇りに思おう。今日も、明日も、あさっても。 2008/06/24(火) 23:12:19 |
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