比呂がかわいく見える
一時間目の時、手紙が回ってきて、見慣れた字だったから、
そっこう開いてみてみたら、やっぱり比呂からで 『昼飯、屋上いかね?』とかいてあった。
俺それ読んで、そっこう比呂の方をみたら、 比呂は下敷きで顔かくしてて、
だから消しゴムちぎって下敷きにあてて、ちょっとだけ顔を出した比呂のほうを見て、
大きくウンって頷いたら、比呂がまた下敷きで顔隠して、でもなんか笑ってるみたかった。
昼休み。 屋上行ったら、案の定寒くてさ・・だから、比呂の提案で、ボイラー室にいってみたんだ。
俺んち学校のボイラー室は、ちょっとした工場なみでさ、
結構うるさいんだけど、すげえあったかいんだよね。
比呂は静かに喋る子だから、ちゃんと会話できるかなあ・・・。
ボイラー室に入ったら、機械科の先生がメンテをやっていて
『どーした、紺野と幸村』って声をかけてきたから、
『寒いからここで飯食わせて。』って比呂がこたえた。
『いいよ。メンテも終わったし。でも、ここチャイム聞こえないからな。授業遅れるなよ。』
先生はのんきなこといって笑う。
『『はーい。』』 声をそろえて俺らが返事したら、先生はにこっと笑って ボイラー室から出て行った。
『・・あったかいね・・。』 俺は思わず言う。
比呂が近くにあった古新聞を敷いてくれて、俺等はそこに2人で座った。
騒音のせいで、声が聞きづらいから俺らはぴったり寄り添って座る。
俺がひたすら喋っていて、比呂は笑いながら頷いてくれた。
なーんかね・・。時々思う。比呂はもっとさ・・強気でいいのにって。
だって一度断ってるんだぜ?俺が告ったときにさあ・・。
はっきり俺に断ったんだよね、友達でいたいって。
でも俺が泣いたから比呂は、付き合ってくれたじゃん。
もっとさ・・俺のこと奴隷みたいに扱ってもいいんだよ。
なんだってするもん・・・。なんだって・・。
比呂にそれを話したら、あんまり嬉しくなかったみたいで・・
『そんなこと言われても嬉しくない。』って、直球ストレートで言われてしまった。
俺は・・・なんかさ・・いい気になってる自分が嫌でそういうことを比呂に言ったんだけど、
比呂に『嬉しくない』っていわれて、おもいっきりへこんでしまった。
俺が話につまってしまって、泣く寸前になってたら、
比呂が俺の事を、ぎゅってしてくれて、ため息をついて話し始める。
『幸村とは、色々したいけど・・でもそんなさ・・奴隷とかそういうこと言うのやめてくれよ。』
『だって・・俺・・いい気になって・・。』
『いい気になんかなってないよ。』
『だって、俺が頼み込んで付き合ってもらったのに・・』
『・・・。』
『こんなに大事にしてもらって・・俺浮かれてるしさ・・・』
『・・・。』
『図々しいって比呂に思われたら嫌だよ・・・。』
比呂は、なんだよもー・・とかいいながら、俺を強く強く、ぎゅーっと抱きしめた。
『どっちが先に、告ったとかそういうのってさ、関係ねえじゃん、こうなっちゃったら・・・。
お前が告ってくれて、俺が受け入れた時点でもう俺等は対等だろ?』
『なんで・・?』
『だって、思いが同じだから付き合うんだからさ・・。』
『・・だって・・。』
『だってじゃねえよ・・・まったくさー・・確かに幸村には色々してもらいたいよ。』
『・・・。』
『まあ・・付き合ってるってなったら・・そういうのも・・まあ・・』
『はあっ?!!!』
『だけど、そういう気持ちでしてもらいたいわけじゃねえの。』
『・・・・。』
『ご奉仕じゃなくてー・・愛情のー・・・確かめ合い?』
『・・・。』
『わけわかんねーか・・でもわかってよ。俺だってうまく言えねえし。』
・・あほ・・。じゅうぶんわかってるよ・・。返事につまってるのは、俺が、あまりに感動してるからだよ。
比呂は欲望をうっかり喋っちゃったせいか、俺から体を離して、そっぽを向いてしまった。
俺はそんな比呂の背中に、デコをくっつけて『好き』っていった。
比呂は、少しだけ黙った後に 『そういうことを・・いっぱい言ってよ。』という。
『なんか不安になってんなら、直接それを俺に話してくれよ。』
・・うん・・・。ごめん。
俺・・中学の時、人に散々裏切られて・・なんかね・・・なんていうかね・・・
信じることに自信がねえの。
だからなんか、捻じ曲がったような考え方で、お前を試すようなこといっちゃったのかも・・。
嫌な言い方しちゃったや・・。奴隷とか・・・ほんと酷い事いった・・・。
反省する・・ほんと反省する。
比呂が優しくしてくれるなら、俺、安心して、色々なことを反省する。
ごめんね・・・ありがとう。
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