Date 2007 ・ 02 ・ 07
『休んじゃた・・。』
昨日の朝、比呂と喧嘩・・・っていうか・・言い争いみたいなことをしちゃって・・
そのまま一日、特に何も話さず・・・部活の時も・・・特に何もなく・・
帰り道も・・特に何もせず・・夜に電話もなく・・メールもせず・・
そしたら俺、明け方から熱で始めちゃって・・今日は学校を休んだ。
別れ話みたいなことになっちゃってたから・・
学校いくの・・嫌だなあって思ってたんだけど
なんかこのまま・・ずっと引きこもってしまいそう・・・。
そしたら小沢から電話があって、どうしたの?って聞かれて、
『熱がでたから休む。』っていったら、
『知恵熱ー?もー!ゆっくり休みなよー。』だって。
『比呂は?』って小沢に言ったら
『朝練あとの片付けだと思う。来る時、体育館に寄ってきたんだ。俺。』
『そうなんだ・・・。』
『うん。比呂と麦、しごかれて大変だね。ぐったぐただったよ。』
『・・・うん。』
『俺が覗いてたら練習終わってさ、気づいてくれて駆け寄ってきてくれてさ。』
『うん。』
『ゆっきーは?ってきいたらさ、「ぴんくちゃんは休みだよ。」っていうから。』
『誰が?』
『比呂が。』
『・・・そう・・。』
比呂が・・ピンクちゃんって・・言い方してくれたんだ・・。
『うん。で、どしたのかなーと思って、電話した。』
『ありがと。』
電話の向こうで小沢が笑う。
『比呂にさー、部活大変そうだねーって声かけたの。』
『うん。』
『そしたらケラケラ笑ってた。あいつは本当にえらいよねー。』
『うん。』
付き合い終わったも同然なのに、彼氏ほめられてやっぱうれしい。
そしたら後ろの方ががやがやして、愛しい声がきこえてきた。
『潤也ぁー。それ幸村ぁ?』
『おー。』
『後で電話するって言っといてー。昼休みー。』
『はいよー。』
『いいやちょっと代わって。』
『お、いいよ。ほれ。』
『あ、もしもし?幸村?』
比呂の声だ・・・。どうしよう・・・。
『比呂・・?』
『・・・大丈夫?お前。風邪?』
俺はもう何がなんだかわからない感じで、涙が吹き出た。
うううう・・・。比呂に会いたい。たまんない。
『ごめんね・・比呂ごめんね・・。』
『・・・・。』
『昨日はごめんね・・ほんとごめんね・・。』
『ああ・・。うん。』
『・・別れたくない。好き。ごめんね。本当にごめんね。』
『・・ははっ・・。そんな謝るなよ。大丈夫だから・・・。別に。』
大丈夫ってなに・・・
『許してくれるの?』
泣きながら言う俺はずるいけど、必死だからどんな手段も使う。
比呂は、ふふっと小さく笑って
『許すも何も・・うん・・大丈夫だから。うん。』
という。そんで優しい声で言うんだ。
『熱・・どんくらいあんの?』
『・・39度ちょい・・。』
『うそー。大丈夫かよ。』
『うん・・・。比呂の声聞けたから・・我慢できる・・。』
『あはは。』
『ごめんね。』
『うん。いいよ。』
『好き・・比呂・・。』
『うん。』
『・・・・』
すきって言ってくれないの?って思ったら後ろで大きな声がする。
『比呂ー!まだー?!!!』
ヒノエの声だった。がやがやとうるさい。
比呂が困ったような小声で俺に言う。
『鬼ごっこの途中なんだよ。すげえいっぱいいるんだ、まわりに。
昼休みに電話する。それまでちゃんと寝てろよ。じゃ、小沢に変わるよ。』
ガサガサと音がして、『ありがとう。』って比呂が言うのが聞こえた。
小沢にお礼を言ったのかな?ばたばたと足音が遠ざかっていく。
何人もの声がぎゃあぎゃあと騒がしい。それもすぐに遠くなっていった。
『ゆっき?』
『うん。』
『なーに話してたの?』
『・・昨日・比呂とケンカしちゃって・・。』
『えーー?!うそ!』
『で・・その話・・・。比呂、鬼ごっこしてんの?』
『うん。なんか10人ぐらいで追いかけっこしながら上に上がってきてさ。』
『うん。』
『お前との電話を盗み聞きされそうになってさ・・
手に持ってるものバシバシ投げつけて、意地でも聞かせないようにしてた。』
『ほんと?』
『うん。すげえよこのへん。漫画だの体操服が散乱してる。』
光景が目に浮かんだ。
俺・・・馬鹿だなあ・・・。
心の中がじんわりして、俺は小沢に言う。
『ごめんね。それ、拾ってあげてくれる?』
『・・いいですよー。まかしといて!』
そのあと少しだけ、雑談をして、俺は小沢との電話をきった。
ふう・・・。
ため息をついたあと、顔がにやけて、ベッドにばたんと倒れこんだ。
あー・・すきだ。すごいすきだ。
比呂好き・・・。ほんと大好きだ。
昼休み・・電話してくれるって・・・うそ・・何を話そう。
とりあえず・・ちゃんと謝って・・・えー・・どうしよう・・。
おもいつかない!
Post at 08:27