ケンカにならない。

今日、朝待ち合わせして、一緒にピカパン(わりと有名なパンや)にいって、
朝の分と昼の分のパンを買ってから学校にいった。

ピカパンでてから、俺はプンプン怒りっぱなし。
だって比呂がすげえ、もててるんだもん。
中学生とか高校生とか、この辺のやつらって、みんな比呂のこと知ってんの?
『紺野くんだ。』『紺野さんだ。うそー!らっきー』
『もー・・どけよピンク、ジャマ〜。』・・・。

こそこそ話は小声で言え!ドブス共っ!

あんまりにむかついたから、俺、わざと比呂に密着してやった。
パンも全てお揃いにしてやった。まいったか女ども。

わっはっは!

・・・そんな高笑いしたのもつかの間・・
店内でわざとぶつかってきて、きゃーきゃー言ってた女達に
特に何にも言わないで、ニコニコしてた比呂に対し
すっげえ腹がたってきて、俺は完全に無視してやった。

『何おこってんの。』『・・・・。』
『きこえねえのー?』『・・・・。』
『・・・今日は、・・バナナで釘打てる寒さだ・・ね・・。』『・・・。』
『那央、俺のこと好きー?』『・・・うん・・。』

くそーーーーーーーーーーーーーー。
普段そんなこと言うような比呂じゃねえくせに!

ずるい。

学校着いて、寒さに負けず屋上行ったら日が当たってきて
一気にあたたかくなって、パンひろげたら、なんか幸せ。
誰もいなかったから、俺は比呂に寄り添いながら
サンドイッチにかじりついた。

おいしいなあ。

比呂がほっぺにちゅ・・・とかしてくる。えーーー!!なになに!

・・・比呂って、ほんと付き合うと、こんな感じなんだなー。

2人きりだと、わりと甘えっこになってくれるんだよね。
とにかくさー、ちゅうが好きみたいで
ちゅっとしては、へへっと笑って、照れてんの。


なんだよもうっ(えへへ


比呂が自分の袋から、チョコとカスタードのデニッシュを俺によこした。
『コレすげえおいしいのに!なんで?』
というと、
『だって俺、甘いの好きじゃねえもん。』
とかいう。えー?
『じゃあ、何で買ったの?』
『だってお前、俺のあと付いて来て、俺と同じのばっか買ってたじゃん。』
『・・・。』
『だから買ってみたんだよ。』
『・・そんな・・気を使わなくてもいいのに・・。』
『・・・んふふふ・・』
『・・何その思い出し笑い・・・。』
『・・や・・・別に。』
『なんだよーーー!!!!!』
『・・俺がそのパンをさー・・』
『うん・・。』
『銀色のぱっかんでつかんだ瞬間の、お前の表情思い出した。』
『?!』
『そのあとお前、嬉々として、そのパン自分でも買ったよね。あはは。』
『な・・なんだよーーーー!!盗み見反対!』
『ふふ・・、超かわいかったな、あの顔。あのテンション。』
『かわいいとかいうなーーーー!!!』
『いいから食べな、そういうパンって出来たてがうまいんだろ?』
『いいよ、俺も買ったし・・比呂も食べなよー。』
『お前買った分は昼に食えばいいだろ?どーせ何個でも食えるだろうに。』
『・・・ガキ扱いすんな。』
『してねえよ。』
『だってずっとさー・・・なんかさー・・・。』


ごにょごにょいってたら、比呂が俺にまたちゅっとした。

『俺、世の中の甘い物の中で、一番好きなのが・・那央ちゃん?』

もー・・・・。


喧嘩にならない





2007/04/20(金) 00:15:28
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