Date 2006 ・ 08 ・ 10

ごめんね。

比呂が携帯を新しくしたとか言って、帰りに俺の家に寄ってくれた。
番号変えたみたくって、メアドも新しくなってしまった。

『携帯、なんで壊れたの?水の中にでも落とした?』
俺が聞いたら、比呂はちょっとだけ考えた後
『・・・壊した。自分で。』
といって力なく笑う。

・・・。


『かおりさんと、ちゃんと別れたんだ。俺、なんか未練タラタラでさ・・
で、あの人はほら、大人じゃん。だから引き止めてくれてさ・・
でもこのままじゃダメじゃん。だけど、やっぱ自分の都合のいい方にさ、
考え方が行きそうだったから、だから・・バキって・・。』
『バキって・・・って・・自分で携帯折っちゃったの?』
『・・・うん。』


俺、ゆっくり話しきいてやろうと思ってさ、『あがんなよ。』って声かけたんだけど、
『わりい。ちょっと麦のとこに寄るから。』っていって、さっさと帰ろうとする。

『麦に用?』・・・あほな俺。用があるからいくんだろっつの。
そしたら比呂は、ふうっとため息をついて
『さっき、無視しちゃったから謝って来る。』といった。

『無視?』
『・・携帯買うときにあいつに会っちゃってさ・・で・・。』
『喧嘩でもしたの?』

比呂は無言で首を振る。

『前の携帯、店の人に処分頼んだんだけどさ、頼んどいてなんか・・さみしくなってさ・・色々思い出しちゃって・・。』
『・・うん。』
『俺泣きそうだったから、あいつになんも声かけないで店を出ちゃったんだ。』
『・・・。』
『麦には、かおりさんのこと、あんま話してなかったし。』
『うん。』
『あいつ大声で呼んでくれたんだけど、そのまま帰って来ちゃったから・・。』
『・・。』
『番号教えたのはお前が一番最初。悪いけど、小沢と浅井にも、まわしといてくんね?』
『いいよ。』
『ありがとう。じゃ・・。』
『うん・・わかった。』
『またね。』
『うん。じゃ、また。』


比呂は、気が重そうな顔で、自転車をこいでいってしまった。

・・・ほんとに・・別れちゃったんだな・・。

つらそうだ・・・。なんかマジつらそう・・。
ごめんね・・。ごめんね、比呂。

俺・・・、お前がかおりさんと別れてくれて
・・すっげえ・・すげえ・・・・うれいしいよ。

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