体温リレー



朝、教室にいったら、比呂と坂口と麦が話をしていた。
俺に気がついた比呂が、にこっと笑って、手を振ってくる。
てを振りかえして『おはよー』っていって、自分の席に向かう途中、
比呂の机の上を見たら比呂のマフラーが置いてあった。

俺は黙ってそれを自分の首に巻く。
それで比呂に『もーらいっ!』って声かける。

そしたら比呂が、んー?って振り向いて
その後俺にいったんだ。

『おー。しとけしとけ。似合う似合う。』

そんだけいうと、また坂口とか麦との話を再開する比呂。

まだあたたかいマフラー。比呂のぬくもり。
体温。幸せ。

『おー、しとけしとけ。』だってさ。
そのそっけなさが、逆に優しい。

マフラーして本を読んでいたら、三人の話がなんかおもしろくって
俺もその輪にはいろうと思って、比呂が腰掛けてる机のとこの
イスにちょこんと腰掛ける。

そしたら比呂がね、けらけら笑いながら、俺の首からマフラーとってね。
んで、自分の首に巻くの。普通に。あたりまえみたいに。

おれ、それがすごく嬉しかったんだよ。