あーあ。ついに沼田とやっちまったー。

昨日幸村が来て、比呂見て泣き出して。
幸村って、いつもいつも、想いを必死に伝え続けてるじゃん。
そういう姿に打たれてるのは、毎回、俺よりも沼田でね。
遊ばれて捨てられた若い頃の
心の古傷があいつをその場に縛り付けてるんだよね。

素直じゃないけどかわいいんだよ。
俺より少し年下のあいつが、決して甘えることもなく、俺との間に一人分距離おいて、
いつか俺が、他の誰かを好きになって、その誰かが俺の隣に立ったとき、
自分が静かに消えていく準備をしながら俺といてくれてんのが
そろそろ悲しくなってきてさ。

俺はこんな性格だから真面目に話し合うとかできないし
だからって、酔ったついでじゃさ、説得力ないでしょ。
俺と付き合う気になってくれた沼田は、今でも結局この先ずっと一人で生きてく覚悟をしてて、

重症じゃん。下手したら死ぬ。

言い争いになった。沼田は泣いた。「もう別れたい。」とも言われた。

ぐすぐす子供みたいに泣いて窓の外眺めて黙ったから、かなり照れたんだけど背中から抱きしめて、
しばらく二人で外を見てたらさ、幸村と比呂が厚着して出て来て、そのまま夜道を歩いていった。

幸村、比呂に抱きついたりチョップし続けて比呂に軽く頭はたかれて、
そしたら比呂のまわりを謎スキップでまわりだして、それ見て沼田が少し笑ってくれたんだけど、

幸村が自分の足に躓いて転んだんだよ。
そしたら比呂が幸村を起こしてやってさ、膝の汚れとかはたいてやって、二人で笑ったの。
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