2007/6/23(sat)23:47:15

光が丘の一等地に、こ洒落たアイス屋さんができた。
今日は午前中に学校で製図の定着度テストがあったから
帰りにユッキーと俺と比呂で、そのアイス屋にいってみた。

今朝の折り込み広告に載ってた地図を頼りにして店に向かう。
そしたらギャルの行列ができてて、俺らは最後尾に並んだ。
俺も比呂も、アイスを死ぬほど好きなわけじゃないんだけど
生涯かけてアイス命!・・なユッキーのために!そして!
俺と彼女のデートの下見として、根気で30分待ちに立ち向かった俺ら。

『すげー人気だなー。そんなにうまいの?ここ。』
『うまいにきまってる!だってアイスの専門店だよ?!』
『『・・・・・・。』』
『アイス・・・が!専門・・の!み・せ!だよ!』
『『・・・・・・・・うん。』』

アイスの国の王子様の力説をぽかーんと聞いてたら、店員さんが
メニューを持ってまわってきた。先に注文決めとけってことらしい。

『なにこれ、すげえなー。種類が。専門店っつーだけのことあるな。』
『えー!!全然選べない!どうしよう!』
『あ、じゃ、俺はプリプリイチゴファッジ。』
『えーーー!!!潤也!なんでもっと吟味しないの?』
『いいじゃん、直感だもん。俺は。』
『ひ・・比呂はどうする?』
『あー・・俺はこのレモンのなんちゃらでいいわ。』
『えーー!!早いよ!もっと悩もうよ!・・どうしよー・・。』
『おちつきな。那央。まだ順番まわってこないし。』
『だめ!ムリ!もう耐えられない!比呂きめてー!!!』
『・・・・・。』

えー・・・・って顔でユッキーの顔を見てる比呂。うらやましいな。
こいつらって、もう安定しきってんだなー。関係が。
俺は黙って二人の会話を見守る。

『食いたいのを選べばいいだけだよ。ほら、どれが食いたいんだよ、お前は。』
『だから全部!全部食べたいから決められないの。だってこれ全部アイスなんだよ?』
『・・・那央、いつもコンビニとかでちゃんと一個に絞れるだろ?』
『だって、ああいうのとは違うじゃん。専門店のアイスなんだもん。』

ユッキーの顔をじっとみたあと、困ったような顔でメニューに目を落とす比呂。
数秒黙って考えたら、メニューから視線はずしてユッキーをみた。

『じゃ、一番上の左端。これにしな。』
『これ?』
『そ。で、順番に一個ずつ通って食えばいいじゃん。またつれてきてやるから。』
『!!ほんと?!!絶対?!』
『ほんと。だからー・・次はこれな。でー、その次はこれ。』
『やったー!!!!』
『でも一回一個ずつだかんな。お前、すぐにバカ食いするから。』
『へへー・・。』

俺は二人のやり取りを見ながら、顔がカーっと赤くなった。
比呂がユッキーに言ったことを、彼女に言ってあげたいと思った。
メニュー指差して『じゃ、そのつぎがこれでー・・。』とかいって
うれしそうに比呂に笑いかけるユッキー。

心に彼女の笑顔を描いた。
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