ゆる交際

今日は授業午前で、午後は部活だった。

そのあと比呂は、バイトに行ったんだけど、3時に入って7時にあがるとかいうの。
だから、両手合わせて拝み倒して夕飯一緒に食べる約束した。

連日の疲労がおそらくピークの比呂は
一緒に行ったファミレスで、メシ食いながら船こいじゃってんの。
うつらうつら・・・っていうか・・たまにガクっとかなって、ほんと眠たそうだなーって。

俺は、パスタ食いながら、『バイト減らせば?』って言ってみた。
比呂は、俺の方をじっとみたあと『ありがとう。』って・・それだけだった。

のーんびりチキンサンド食べながら、ぽーっとした顔で外のほうを見る比呂。
ゆるいなー・・・。ネジ落としてきちゃったんですかー。

比呂と結婚したらこんな感じで、緩やかに幸せが続くのかなー。
将来比呂と結婚できる女が本気でうらやましい・・・
って、想像上ですら別れを避けられない自分がなんか悲しかった。

結婚。

『比呂。』
『・・・?』
『結婚ってなんなんだろう・・。』
『・・・・。』
『・・・・・。』

『何で突然そんな話を・・?』



睡魔と必死に戦ってるらしい比呂は、とろん・・とした目で俺にきいた。
俺は、パスタに添えられたプチトマトを、フォークで刺して、ただ黙る。

最近、お互い忙しくって・・エッチできなくて寂しくて
それでもなんとか前向きにやってきたつもりだったんだ。
だけど、目の前の彼の腕が恋しい。
俺の体に欲情して、夢中になってくれるところを見たい。

でも、こんなとこではそれが出来ない。

だったら決定的な言葉で俺の、不安を蹴散らして欲しいんだ・・。

比呂は、眠気が限界だったようで、チキンサンドの皿をどけると
テーブルの上に顔を預けて、目を閉じて、ゆっくり話をする。

『わかんない・・・結婚なんて・・。今はただ・・ぴんくちゃんといられたらそれで嬉しい。
・・俺らが男同士で・・・たとえば・・俺らの関係が・・紙関係の手続きで
結婚って呼ぶ事を認めてもらえないんだったら、俺はそれを憧れたりしない。
結婚って・・・なんか・・やっぱその言葉を聞くとときめくけどー・・
でも、那央とそれをできないんなら、俺の人生にそれはいらない。
だけど、思いあう気持ちが・・』

『・・・?』

『・・・・っていうか・・、ずっと一緒にいたいっていう・・もう一生こいつと一緒にいたいっていう
そういう思いっていうか・・気持ちを結婚って名づけてるんなら・・
俺はそういうのの相手は、ピンクちゃんがいいなあとおもう。』
『・・・・比呂・・』

目を閉じたまま・・少しの間だけ黙ってた比呂は・・目を開けた。
そんで頭を振って、ほっぺ叩いてそのあと、チキンサンドの残りを食いながら・・
『お前最近、結婚結婚ってよくいうよね。』とかいう。

・・特に気にも留めてないようだったから、忘れてんだろうと思ってたよ。
比呂は、ケホッと軽く咳をすると、俺も見ずにこんなことを言った。
『嫌じゃないよ。お前がそういうこと言うの。』

俺は、きょとんとしてしまう。『どういう意味?』って聞き返したら
比呂は、目をこすりながら、ふふっと照れ笑いして・・

『なんでもない。』って、ボソッと言った。


2007/07/18(水) 23:47:36
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