恋愛哲学

なんか俺、今日は駄目駄目さんだった。昨日も日記に書いたっけ・・・。おぎやんのこと。
おぎやんと比呂が、仲いいんだけど・・普段それほど遊んだりするわけじゃねえのね。

科が違うからクラスも同じになることないし・・浅井とちょっと仲良くて、
それで話すようになったんだけど、だからってそんなに接点ないんだよー・・。
なのに、サニマとかさ、学校とかでばったり会うと、比呂とオギヤンは、仲いいんだよね・・・。
それもさ・・・なんつの?10年来の悪友みたいな感じのさ・・
男同士の親友関係みたいなノリの雰囲気の。

一時俺、麦に対して、似たような嫉妬をしたんだけどね、麦はほら、接点多いじゃん。
クラス隣だし、合同体育の時は一緒に体育やるし、科が一緒だから、たまに実習で会うし
なんてったって部活同じだし、バイト先が同じ商店街だし
だから、比呂と麦が仲いい理由はいっぱいあるわけじゃん。だから別にもういいんだよ。そのへんは。

でも、オギヤンはちがうじゃんね。さっきも言ったけど、接点ねえし。

昨夜はさ、昼間の思い出に心満たされてたから、なんとなく平気だったんだけど
朝起きたら、充電切れで・・カーテンから差し込む朝日が神経に障ってたまらなかった。

学校行ったら比呂が坂口と外見て何かを数えてて
『なにしてんの?』ってきいたら、
『外にいるカラスの数数えてる』って比呂が言った。
電線と学校近くのゴミ置き場にカラスがいて
それを2人で一生懸命数えてたみたいなんだけど
坂口がクシャミするたびに、何羽まで数えたか忘れちゃって結局わかんなかったみたい。

そんなのどーでもいいんだけどさ。

そんなんしてたらさ、ヒノエとおぎやんが廊下を歩いてこっちにきたの。
なーんかニヤニヤ笑いながら。
『君たち饅頭スキ?』ってヒノエがいって、俺と坂口が一個ずつもらった。

『なにこれ土産?』坂口がヒノエに話しかける。
『一昨日昨日と箱根に行ってきてさー。』
『しっぽりしてきたか?』
『したねー。芯までしっぽりしてきたねー。』
俺は包み紙あけて、すぐに饅頭にかぶりついた。
あー、うっめーなーとおもって、ヒノエにお礼言おうと
顔を上げたら、ヒノエの肩越しに比呂とおぎやんが話をしているのが見えて



・・・嫉妬した。


比呂は甘いのあんま食わないから、饅頭はもらわなくってさ
で、ヒノエと一緒にきたオギヤンと、話をしてたってだけなんだけど・・
なんか悔しくってさ・・なんでかわかんないけど、嫌な気分になってさ・・・
俺、わざと大きな声で『ねえ、これうまいよ。オギヤンもらったの?』って
オギヤンに話しかけたんだ。

オギヤンはきょとんとした顔して『食った。さっき。』という。
そんで俺ににこっと笑ってくれたあと、比呂との話を再開した。
なんか・・負けた感じがして悔しかった。

昼飯のとき、2人きりになりたいからって比呂を誘って一緒に校舎の裏行って弁当を食った。
俺は余分にもらった饅頭のデザートつきでちょっと豪華。

比呂が飯食いながら『紅葉の季節だねー。』とかのんきなことを言う。
那央と一緒に見に行きたいとか・・のーてんきなことばっか言うから
俺は何気に、無言を決め込んだ。

沈黙が武器になると思ったけど、比呂の携帯に電話かかってきて
おじちゃんからだったらしく、比呂は電話で話し込む。
負け犬感がいよいよ限界で、俺は泣きそうになったんだけど
そこに坂口が大声で俺らを呼びながらあるいてきた。

電話中の比呂に気づいて、急に黙る坂口。何なんだお前。
『わり!比呂・・。電話・・・。』
比呂は、にこっとわらって、手振りで『大丈夫大丈夫』っていう。
すると、坂口は俺の隣に座って、ズボンのポケットから饅頭を取り出した。
『ヒノエちゃんに、またもらっちゃったー。』って・・。あーあ。お前は何も悩みなくていいな。

坂口がきたから、結局沈黙が続くことはなくって
そのまま放課後まで、自分の不機嫌さを比呂にアピールすることが出来なかった。

放課後。

掃除が終わって部活行く時。今度は麦が合流して、
そのまま騒がしく部活をやって、なんか・・俺のこのもやもやした気持ち、
スルー?って予感がしたんだけど・・
帰り際に比呂が俺に『なんかあった?』とかいってきて。
『なんで?』って俺が聞くと、『や、わかんねーけど。』って比呂が言う。

気づいてもらえただけいっかーって、なんかそんな気分になった俺は
『なんもしてないよ。帰ろ?』って比呂に言い、そのままチャリ押して、途中まで一緒に帰った。


なーんか不毛な一日だったな。
楽しいことはいっぱいあったはずなのに、思い返すと全部灰色ってかんじ。
今日と言う日自体を抹消したい、俺の記憶倉庫から。


俺は比呂が大好きで・・だから一番近くにいられる今の環境が
すごく大切なわけじゃんね・・。

でも、オギヤンみたいなのをみると、ああやって
普段は接点ないのに、いざ会うと、すごく仲良くて
罵り合えたりするって関係に、すげえ憧れちゃうのね。

比呂は俺に優しいし、俺を一番にしてくれるけど
なんかね、なんていうんだろ・・
たとえば麦と比呂みたいな感じとか・・・
坂口と比呂みたいな関係とか・・・オギヤンと比呂みたいな感じとか・・
ああいう友達としてのつながりに・・自分の比呂とのつながり方が
負けてるような気分になるんだ・・。

あー・・なんか、言ってる意味わかんねーけど・・。

とにかくそんな気分になるんだ。こんなに一緒にいられて
こんなに好きになってもらえてるのに、
おぎやんや麦みたいに、比呂に軽くあしらわれてるあの存在の方が
重みがあるような気分になるのは何でだろう・・・・。

・・・・あー・・あ。
季節の変わり目だからかな。まーた俺、いらん哲学思考に走ってる。


今は比呂自身が家族の事で、大変な時なんだから
こんなバカみてえな、くだらねえ嫉妬心に負けないようにしないとなー。


しんどい。

2007/10/29(月) 22:57:15
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